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ワーケーション上級者の「デジタルノマド」とは?

急増中の「デジタルノマド」について、事例とともに紹介する。テレワークやワーケーションの次のトレンドになるかもしれない。

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HR Dive

 シルビア・グディノ氏はこの1年間、コスタリカのサンホセを拠点に、日本やメキシコ、イタリア、スペインに一時的に滞在しながら仕事をした(注1)。

 グディノ氏のような人は「デジタルノマド(遊牧民)」と呼ばれている。インターネットに接続できる環境さえあれば、さまざまな場所からリモートで仕事をする人のことだ。観光パス会社のGo Cityが発表したレポートによると、テレワーカーの5人に1人がデジタルノマドだと分かった。そのうちの31%はZ世代だ(注2)。

デジタルノマドの魅力と、実現するために必要なこと

 グディノ氏は、デジタルノマドに興味がある人にはぜひ挑戦してほしいと言う。では、デジタルノマドの何が魅力で、そのような働き方を実現するためには何が必要なのか?

 「デジタルノマドは、人として、またプロフェッショナルとして成長させてくれる素晴らしい機会だ。視野が広がり、世界を広く体験できるようになる」(グディノ氏)

 グディノ氏が勤めるITサービスマネジメント企業のPerconaは、世界50カ国以上に従業員を抱えるグローバル企業だ。異文化やコミュニケーション形態に触れることは、「人事担当者として従業員の採用や業務遂行能力を向上させることにつながる」と同氏は言う。

 「デジタルノマドは、多くの人にとっての夢だと思う。旅はとてもすてきで豊かな経験になるからだ。そのおかげでモチベーションを高く保つことができる。毎日勤務できることに大変感謝している」(グディノ氏)

 グディノ氏は、その国の文化にどっぷり漬かることを目標に場所を選んでいる。スペインではフラメンコ教室に通い、地元のイベントに参加した。日本では古くから伝わる知恵や習慣を学んだ。

 グディノ氏は事前に訪問先について調べ、手頃な価格の航空券や宿泊施設を探し、既にその国にいる人々からのおすすめを聞く。同氏によれば「(入念に調べるのは)予算に合わせて調整するため」だそうだ。

 MBO Partnersの調査「2022 State of Independence」によると、2022年は1700万人弱の米国労働者が自らをデジタルノマドだと語ったという(注3)。これは2021年から9%増、COVID-19パンデミック前の2019年から131%の増加だ。

 グディノ氏は、デジタルノマドには「組織と柔軟性が重要だ」と述べる。日本で仕事をしていた時、同氏は北米と中南米を担当していたため、16時間の時差に悩まされた。日本の午後3時頃から事務作業やメールの管理を行い、その後、候補者との面談予定を入れていたという。

 「旅の前に最も重要なことは、上司やチームメンバーに、行先や時差、スケジュール管理について明確に伝えておくことだ。マイクロマネジメントは存在しない。旅をしてさまざまな経験をしたければ、信頼を得ることが不可欠だ」(グディノ氏)

 2006年の創業以来、Perconaは常にテレワーク中心の企業だった。その理由は、テクノロジーの効果的な使い方を熟知している企業として、地理的な理由で貴重な人材を逃したくないからだ」とアン・シュレマーCEO(最高経営責任者)は言う。

 シュレマー氏によると同社はスタッフとの間に高い信頼関係があり、「リーダーは社員が毎日何時にログインするかを確認したり、『Slack』のランプが緑色になっているかどうかを監視していない」のだそうだ。「そのような行動をしていては、効果的なテレワークは実現できない」とシュレマー氏は述べる。

 「私は自分たちの生き方にプライドを持っている。どこにいるかは気にしない。もし誰かがデジタルノマドで、それが彼らのライフスタイルであり、最も幸せならば、生産性をもたらすと思う」(シュレマー氏)

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