検索
連載

「AI採用する企業なんて応募しない」 AI嫌いの市民の声

AI採用が議論を巻き起こしている。調査で分かった、AI採用に対する人々の考え方とは。

Share
Tweet
LINE
Hatena
HR Dive

 Pew Research Centerが実施したAI採用に関する調査によると、回答者の71%がAI(人工知能)が人材採用の最終決定を行うことに反対、70%はAIが従業員の表情を分析することに反対、61%はAIが仕事中の従業員の動きを監視することに反対した(注1)。オフィスにおける従業員の追跡やコンピュータの活動の記録、労働者が休憩をとる頻度の追跡などにも大多数が反対した。

 一方、回答者のほぼ半数は「AIは人間よりも求職者を公平に扱うことができる」と答えた。「人種や民族に基づく偏見や不公平な扱いが問題だ」と述べた回答者のうち53%は「AIがこの問題を改善する」と答えている。

求職者「AI採用する企業には応募しない」

 調査結果の詳細を見ると、AI採用に対する人々の受け止め方が見えてきた。人事の仕事を進化させている(注2)AIについての当局の対応とともに紹介する。

 米雇用機会均等委員会(EEOC)の関係者は、AI採用における”差別の恐れ”について長年にわたって警告してきた(注3)。EEOCは2023年1月に公聴会を開き、AI採用ツールが差別的な採用を行うために使用される恐れに関する専門家の意見を紹介した(注4)。

 ニューヨーク市はAI採用に関して全米で最も厳格な法律を制定し、「2023年7月5日から地元企業に対してAI採用ツールに対する監査と求職者への通知を義務付ける法律の執行を開始する」と発表している(注5)。

 Pew Research Centerの調査では、成人の3分の2が「AI採用ツールを利用する企業には応募しない」と回答した。回答の詳細を見ると、このような仕事に反対する人々は「応募書類に書くべきキーワードが必要であること」や「候補者の非言語情報を捉えられない恐れ」などの懸念を挙げている。

 しかし、そのような企業に「応募する」と答えた残りの32%の人たちは、「AIは人間の採用担当者に比べて偏見が少なく、客観的な判断ができる」と考えており、 「人間よりも自分の資質をよく見てくれるかもしれない 」という回答もあったという。

属性で変わる、AIに対する考え方

 Pew Research Centerは所得水準や性別、人種などの要素によって、回答に違いがあることを指摘した。高所得者は他の同世代よりもAIを応募書類のレビューに利用することに賛成する傾向があった。男性は女性よりも職場でのAIの利用について具体的な利点や欠点を見いだす傾向があり、白人とアジア系の回答者は、従業員の監視の欠点をより強く認識していた。

 同社の研究者は調査結果について「AI採用や従業員監視について、自分の立場をよく理解せずに答えている人も多いのでは」と述べる。

 企業はAIを自社のプロセスに組み込むべきかどうか、またどのように組み込むべきかを決定する際に、多くのことを考慮する必要がある。Bain & Companyの研究者は「企業は従業員のニーズを重視した上でAIと自動化の職場利用を促進すべきだ」と述べた(注6)。IT部門のマネジャーや従業員を対象とした1Eの調査では、多くの回答者が従業員監視によるネガティブな影響を目撃したと報告している(注7)。

© Industry Dive. All rights reserved.

ページトップに戻る