情シスのころは気付かなかった、情シスとして働く独特な魅力:編集部コラム
現職にジョブチェンジして数年が経ち、情シスとして働く魅力を改めて思い出すようになりました。本コラムでは情シスとして働く魅力について、実感したことをまとめました。
筆者は情シスとして新卒のキャリアをスタートしました。当時は他の職種と情シスを比較することはなかったのですが、現職にジョブチェンジして数年が経ち、改めて情シスとして働くことにさまざまな魅力があるように思いました。
魅力を感じた点を書き出したところ、どうも緩めの独特なエピソードばかりが集まってしまいました。ただ、そういった内容にこそ、情シスとして働く魅力が隠れているかもしれないと思い、編集部コラムでまとめます。
情シスは所属する企業の規模や業態によって求められる役割が異なるため、全ての情シスには当てはまらないことはご了承ください。
“何でも屋”経験が実はキャリアに生きる
中堅・中小企業の情シスはいわゆる“何でも屋”になりがちです。筆者はグループ600人ほどの中堅・中小企業の情シスだったので業務の範囲はとにかく広く、専門性が深まらないことや、マルチタスクで働いていたために時に集中力が落ちることに不満がありました。
具体的な業務は、基幹システムや周辺システムの保守・運用、ベンダーコントロール、PCやアカウントの管理、ITインフラ(サーバ、ネットワーク)の保守・運用、ヘルプデスク、これだけ挙げても全ての業務範囲ではありません。
ただ今となっては、幅広く業務を経験することでキャリアの選択肢が増え、やりたいことが見つかる可能性が高まっていたように思います。実際筆者もジョブチェンジする際に幅広い汎用(はんよう)的な業務経験が役立ちました。
先輩や周囲の情シスをみると、みな若手のうちは幅広く業務を経験し、徐々に自身が興味のある領域にシフトしていったように思います。また、情シスは事業に関連するデータの流れに詳しくなるため、他部署で活躍することも可能です。先輩情シスは物流など一見関係なさそうな部署に異動し、DX(デジタルトランスフォーメーション)の先駆けと言ってもいいような活躍をしており、情シスのキャリアの幅広さを感じました。
なんだかんだエンゲージメントが高い
情シスは社内中から問い合わせがあるため色々な場所を訪ね、さまざまな人に会うことになります。結果、一般的に立ち入れない場所に行けたり、普段会えない人に会えたりします。例えば社長室や製品工場、観光施設、営業支店、物流倉庫、子会社といった場所を訪ねました。社外の特殊な施設に行くこともあり、IT機器の廃棄工場やデータセンターの他、SOC(Security Operation Center)に招待されるという貴重な経験もしました。
また、情シスは社内のあらゆる職種の人と関わるため、知り合いが増えます。筆者にとってはさまざまな部署の人と関わることを楽しめました。ただ、人によってはあまり知らない人と頻繁に関わることにストレスを覚えるかもしれません。
普段関わらない人と仕事をする際、彼らは情シスに“プチ根回し”をすることがあります。関西の企業だったので「飴ちゃんあげるわ」と駄菓子をもらったり、秘書課の余った高級菓子を食べたり、商品サンプルをもらったりすることがありました。今となっては良い思い出です。
筆者はお酒が好きで酒造メーカーで働いたため、商品を生産する工場や販売する営業支店、お酒に携わる人々との関わりを楽しめました。情シスが就職先を決める際、好きな商品を販売しているかどうかに着目するのは働くモチベーションを維持する上で間違っていないと思います。
理解されないことを逆手にマイペースに働ける
情シスとして働いている時に、とあるお偉い方に「何をしているのか分からない人たち」と言われたことがあります。酷い言い草ですが多くの従業員が同じような意見を持っていたでしょう。
周囲に業務を理解されにくいからこそ、そういった状況を逆手にとってマイペースに仕事をできるというメリットがありました。ただ、快適なものの偏った働き方に慣れてしまうと、違った体質の組織で働く際に苦労します。筆者がオウンドメディアの編集職にジョブチェンジした前職の人材紹介会社は、高度な労働集約型組織だったので仕事に慣れるまで苦労しました。
あくまで筆者の経験上ですが、情シスという組織や働き方は、従来の日本企業の組織に比べて新しく独特ということは念頭に置いておく必要がありそうです。
また、情シスの働き方は、周囲の雰囲気や社風による影響を大きく受けます。入社する前に会社の雰囲気が自分にフィットするのか、どのようにして業務を管理しているのかは要確認です。
ゴムの木は元気にしてるだろうか
マイペースに働いたり、他部署と頻繁に関わったりして仲の良い従業員が増えるに伴い、ちょっとした遊び心を会社に持ち込むようになりました。
例えば、サーバやネットワーク機器を保守・運用する施設である情報センターの花壇の手入れです。本社の花壇は庭木の専門業者が管理していたため触ることはできませんが、情報センターの花壇は放置状態でした。
なので、春は経理が地元の銀行からもらってきたチューリップの球根を植え、夏は仲良くなったベテラン営業と一緒にヒマワリの苗を植えました。また、人事で放置されていたゴムの木をもらってきて花壇の端に地植えし、枝を切り取って水耕栽培してから鉢に挿し木してゴムの木を増殖しました。
コロナ禍によって多くの情シスがテレワークをするようになりました。筆者のようにオフラインの情シスライフを満喫していた人は、きっとテレワークは物足りなく感じたのではないでしょうか。
たまに思い出すのですが、筆者の育てていたゴムの木は、誰かが手入れをしてくれているのでしょうか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 情シスのころ一番苦手だった業務
新卒で入社してから5年ほど情報システム部門で働きましたが、とても苦手な業務がありました。情シスではない方は、情シスを労わるきっかけになったらありがたいです。 - 情シス以外の「ちょっとした行動」で情シスの負荷を減らすには
情シスを圧迫する細々とした業務は多く存在しています。そこで、情シス以外の方の「ちょっとした行動」で情シスの負荷を軽減できる方法を紹介します。