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退職にもつながる「更年期障害」 乗り越えるために職場ができるサポートとは?

雇用主が職場で更年期障害に対処することは非常に重要だとMayo Clinicの医師は述べている。

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HR Dive

 総合病院のMayo Clinicが2023年4月26日に発表した研究結果によると、更年期障害に伴う火照りや寝汗、気分の変化、睡眠障害、関節痛、認知障害などで、アメリカでは年間18億ドル分の労働時間の損失が発生していると推定できるという(注1)。

 本研究の対象となった4440人の就業中の女性のうち13%が「更年期障害で(欠勤や勤務時間の短縮、解雇、辞職、退職、転職など)仕事への悪影響を経験した」と回答し、11%が「症状のために仕事を休んだ」と回答していることが明らかになった。

 「企業は職場の女性が抱えるこの問題に取り組む必要がある」とMayo Clinicのステファニー・フォビオン氏(女性の健康に関するディレクター)は述べた(注2)。

職場環境の整備が必要

 では、企業はどのようにこの問題に取り組めばいいのだろうか。

 不妊治療をサポートするCarrot Fertilityが2023年4月18日に公開した、家庭を持つ予定がある従業員を対象にした調査の結果によると、包括的な医療給付の有無は、退職を決意する理由になり得るようだ(注3)。5000人の回答者のうち65%が「不妊治療給付金がある職場に転職する」と答え、72%が「その給付を提供してくれる企業に長く在籍する」と答えている。また、75%が「不妊治療手当は包括的な企業文化の重要な一部だ」と回答した。

 更年期障害も、不妊症と同様に(注4)タブー視されているとMayo Clinicのエクタ・カプーア氏は指摘する。

 「女性は偏見や差別、汚名を恐れる結果、職場のマネジャーや他の人々に閉経症状を公にすることをためらうかもしれない。そういった懸念を認識し、女性が自身の医療ニーズについて話し合える安全な職場環境を作ることが、この問題を解決する助けになるだろう」(カプーア氏)

 フォビオン氏は「臨床医は女性に更年期症状について指導や治療を行う必要があり、企業は女性がこの人生の転換期を乗り切るための職場の戦略や方針を作り、実行するべきだ」と述べた。

 一般的に閉経は女性が52歳前後の時に起こるとされており、影響を受ける人は多いと研究者は述べる。また、更年期障害が労働者の欠勤率や生産性、医療費、キャリアアップの機会損失に与える影響も大きい。

 Mayo Clinicが実施した研究の著者らは、企業に対して、女性がヘルスケアの必要性について安心して相談できる環境を整え、雇用主や管理者の教育やトレーニングを行い、病欠やフレックスタイム制に関する支援策を提供することを推奨している。

 2022年にWorkhumanが実施した調査では(注5)、「更年期障害や出産、結婚式の準備に対して企業がサポートしてくれている」と感じている女性は回答者の半数以下だということが分かった。

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