オフィス回帰で不毛な残業 出社組が強いられることとは
ライボは、「2023年 残業に関する実態調査」の結果を発表した。67.2%がコロナ禍よりも残業が「増えた」と回答し、出社頻度が高い人ほど残業時間が増える傾向が見られた。一体なぜか。
オフィス回帰の波が広がる今、オフィスへの出勤が増えることで「不毛な残業」が増える傾向にある。出社組は何を強いられているのか。
ライボは2023年9月11日、同社の調査機関「Job総研」が実施した「2023年 残業に関する実態調査」の結果を発表した(調査期間:2023年8月25〜28日)。同調査では、終業時間の意識と実際のタイミング、コロナ禍前と比較した残業時間の増減などを調べた。その結果、回答者の67.2%がコロナ禍よりも残業が「増えた」と回答し、出社頻度が高い人ほど残業時間が増える傾向が見られた。
出社組が強いられることとは? 20代は“鉄の心”で定時上がりを意識
まず、終業の意識については、「定時上がりを意識している」と回答した人が72.4%を占めた。内訳は、「かなり定時上がりを意識している」が全体の29.4%、「定時上がりを意識している」が21.9%、「どちらかといえば定時上がりを意識している」が21.1%。年代別に見ると、「定時上がりを意識している」と回答した人の割合は20歳代が最も高く76.6%。次いで40歳代が72.5%、50歳代が69.9%、30歳代が68.3%だった(図1)。
次に、実際の終業タイミングを見ると、「定時に終業」と回答した人は60.9%だった。「定時上がりを意識している」人の割合より10ポイント程度低く、理想と現実にギャップがあるようだ。年代別に「定時に終業」と回答した人の割合を見ると、20歳代が67.2%、40歳代が60.0%、30歳代が57.5%、50歳代が50.8%で、20代が定時上がりの意識が強い傾向があった。
「定時に終業」と回答した人にその理由を聞くと、最も多かった回答は「会社から定時上がりを推奨されている」(50.1%)。次いで、「プライベートの時間を充実させたい」(38.6%)、「効率のいい働き方を心掛けている」(29.7%)の順だった。これに対して定時で終業していない人の理由では、「残業しなければ終わらない仕事量がある」(64.3%)、「定時に上がれない雰囲気がある」(21.5%)、「仕事を任せられる人がいない」(18.3%)がトップ3を占めた(図2)。
新型コロナウイルス感染症が5類に移行した前と比べて、残業時間が「増えた」と回答した人は67.2%。5類移行によって出社頻度が増加したと回答した507人に限ると、「増えた」と回答した人は78.5%で、出社頻度が高い人ほど残業時間が増える傾向が見られた(図3)。
個別の意見では、「上司が退勤するまでは退勤できないので、業務が終わっても20分くらい様子を見る」「オフィスで残業していると仕事を頑張っている雰囲気が出せる」「テレワーク時は雑談が無かったが、職場で話す機会が増えたのでその分多めに仕事をしている」といった声が聞かれた。
サボり残業の功罪
一方、同調査では残業代が出るのにもかかわらず業務以外のことを勤務時間中に行って残業をする「サボり残業」の現状も明らかになった。
「サボり残業をしている」とした回答者は全体の39.1%(図4)で、「していない派」は50代が最多(82.5%)だった。その理由を聞くと、「意図的にゆっくりと仕事をしているから」(35.4%)、「定時に退社できない雰囲気があるから」(20.3%)、「テレワークで人の目が気にならないから」(19.0%)だった。
一方で、サボり残業をすることによって心の余裕や気分転換の機会を創出するという意見も挙がった。ライボは「企業側は心の余裕をもたらすサボり残業に賃金を払い、それを黙認しつつ制度などによって解決すべきか、対応が求められる」とまとめた。
なお、今回の調査は、現在職を持ち「JobQ Town」に登録している20歳代〜50歳代の社会人が対象で、796人から有効回答を得た。
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