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ITエンジニア「35歳定年説」はなぜ終息したのか? リクルートの調査

リクルートによれば、ミドル・シニアのITエンジニアの転職者が増加しているという。なぜ今、高齢エンジニアの転職が増えているのだろうか。

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 リクルートは2023年8月31日、「ミドル・シニア」層(45歳以上)のITエンジニアについて、転職支援サービス「リクルートエージェント」のデータを分析した結果を発表した。

なぜ「シニア」エンジニアの転職が増えているのか?

 リクルートによると、ミドル・シニアの転職決定者数は年々増加しており2017〜2022年で4.9倍になっているが、ITエンジニアに絞るとさらに10倍に膨れ上がるという。


ミドル・シニアのITエンジニア 転職決定者数の推移(出典:リクルートのプレスリリース)

 なぜこれほどまでにミドル・シニアのITエンジニア転職が増加しているのだろうか。リクルートでIT通信業界担当のコンサルタントを務める丹野俊彦氏は次のように解説する。

 「ITエンジニア職のニーズが高まっており、企業側としては、求めている経験やスキルを持っている求職者ならば、年齢を問わず採用したいと考えるようになっています。加えて、ミドル・シニアの ITエンジニアが持つ、システム障害に対応した実績など、長年の経験によるスキルやプロジェクトマネジメント力が求められています。もともとは ITエンジニア職について、『35歳定年説』という言葉もありましたが、このような状況もあり、ミドル・シニアの ITエンジニア職の転職決定が増えています」

 リクルートによれば、ミドル・シニアのITエンジニアが転職する動機は「年収アップ」や「キャリアプランの見直し」「能力や個性を生かしたい」などが多いという。海外の研究によれば、シニア層にも「貢献したい」「成長したい」というモチベーションがあるにもかかわらず、「高齢者は新しいスキルの習得に関心がない」という偏見が彼らの職場復帰や雇用延長を妨げている可能性がある(注1)。

 丹野氏は「企業は『45歳以上だから』と先入観を持たず、『どんな働き方やキャリアを実現したいのか』といった対話を重ねることで、多様な経験を積んでいる45歳以上のエンジニアが働きやすい環境を作ることが求められるでしょう」と述べる。少子高齢化によって、他の産業に比べて若い従業員が多いとされるIT業界がどう変わるのか(注2)、注目したい。

注1:経験豊富な人材が欲しいのにシニアを採用しない企業の根本的な勘違い

注2:令和4年賃金構造基本統計調査の概況(厚生労働省)によれば、情報通信業の平均年齢は40.2歳で、他の産業に比べて2〜8歳程度若い。

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