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SNSで“情緒不安定アピール”はキャリアにマイナスの影響だらけ?

SNSで自身のメンタルヘルスに関する投稿をすると、採用にどういった影響があるのかが調査がされた。投稿により採用担当者の評価が変わる項目とは。

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HR Dive

 研究によると、不安やうつ病についてSNSに投稿する求職者は、情緒が安定しておらず、責任感が低く見える可能性があるという。

 ノースカロライナ州立大学が発表した新しい研究によると、メンタルヘルスにおける課題をSNSで話すことは受け入れられるようになっている(注1)。しかし、雇用主はそれを理由に求職者を否定的に見る可能性があるという。

メンタルヘルスの投稿で評価がどう変わる?

 特に、メンタルヘルスに関する「LinkedIn」への投稿は、募集や選考、採用のプロセスに個人情報を持ち込み、後になって求職者に影響を与える可能性がある。

 筆頭著者であり、メレディス大学の心理学助教授であるジェナ・マチェスニー氏は声明の中で次のように述べた。

 「私たちの調査結果は、LinkedInで不安やうつ病についての投稿を控えるべきだという意味ではない(注2)。これらの問題についての投稿が、将来の雇用主の自分に対する認識を変える可能性があることを意識すべきである」

 同研究のため、研究者たちは409人の採用経験者を募集してLinkedInのページを見てもらい、求職者の性格的な特徴や将来の仕事ぶりについての印象を聞いた。

 採用経験者は4つのグループに分けられた。1つ目のグループには、「メンタルヘルス上の問題に関連する投稿が含まれていない求職者のページ」を見せ、2つ目のグループには、「不安やうつ病の経験に関する投稿が含まれた求職者のページ」を見せた。3つ目のグループには、「メンタルヘルス上の問題に関連する投稿が含まれていないページ」を見せた上で、求職者の音声インタビューを聞かせた。さらに4つ目のグループには、「不安やうつ病に関する投稿が含まれるページ」を見せた上で、音声インタビューを聞かせた。

 その結果、求職者が不安やうつ病の経験をLinkedInに書き込むと、情緒的安定性や責任感といった性格的な特徴に対する採用経験者の印象に影響を与えた。一方で、タスク遂行能力や組織的な行動といった仕事のパフォーマンスに関する印象には影響を与えなかった。また、これらについて求職者の性別や採用経験者の年齢は関係なかった。

 「メンタルヘルスに関するLinkedInの投稿を見た採用経験者は、求職者を感情的に不安定で責任感が低いと見なす傾向がある。インタビューを聞くことが、求職者の感情の安定性への印象を変化させる場合もあったが決して多くなかった。そして、インタビューを聞いたことは求職者の責任感に対する印象に影響を与えなかった。つまり、採用経験者がLinkedInのプロフィールから得た印象は、インタビューを通じてほとんど変わらなかった」(マチェスニー氏)

 雇用主と従業員の両者がメンタルヘルスの課題やストレス、燃え尽き症候群について多くの議論をする中で、人事担当者は偏った見方に対する合理的な調整を行い(注3)、同僚が偏見を持たないようサポートすることができる。

 とある情報源はHR Diveに「メンタルヘルスに関する管理職向けの研修も(注4)、助けを必要とするスタッフを特定し、重大な問題が発生する前に解決策についてスタッフと協力することにつながる」と語っていた。

 メンタルヘルスに関する福利厚生も増加傾向にある。学生向けのプラットフォームを提供するTimelyCareの調査によると、最近の大卒者はこのような福利厚生を強く支持しており、2023年の就職活動では「メンタルヘルスや職場の福利厚生を求める」と回答している(注5)。

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