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4割の新入社員が企業のリーダーシップを「頼りない」と回答 まずやるべきことは?

新入社員は経営幹部を“頼りなく”感じているかもしれない。なぜ企業の表現するリーダーシップを新入社員は"頼りない"と感じるのか。正しく伝えるためにすべきこととは。

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HR Dive

 企業が表現する「リーダーの考え方」を、新入社員は“頼りなく”感じているかもしれない。ある調査によると、約90%の経営幹部が「リーダーシップマインドを体現している」と考える一方、新入社員が同様に考える割合は60%未満だった。

 新入社員の多くは、入社前から企業のリーダーシップに関する情報を積極的に求めているため、リーダーシップを正しく体現することは優秀な人材の確保にもつながる。なぜ企業の表現するリーダーシップを新入社員は"頼りない"と感じるのか。正しく伝えるためにすべきこととは。

新入社員と経営幹部が考えるリーダーシップの違い

 GEと世界的な世論調査企業Ipsosによる全米規模の調査に回答した250人以上のC-suite(CEO《最高経営責任者》、CFO《最高財務責任者》、COO《最高執行責任者》、CIO《最高情報責任者》などCから始まる役職一式)のほぼ90%が「エグゼクティブチームはリーダーシップマインドを体現している」と答える一方、回答した400人以上の新入社員で同じように感じている割合は60%未満だった(注1)。

 また、リーダーシップの発展に対する考え方も異なる。調査によると、「企業が強力なリーダーの成長をサポートしている」と感じる割合は、新入社員では68%だったのに対して、C-suiteは90%だった。

 GE Foundationの社長であるリンダ・ボフ氏は2023年9月5日のメディアリリースで「急速に変化する今日のビジネス環境において、新入社員はC-suiteに対して明確なビジョンと本物のコミュニケーションを求めている」と述べた。

 調査との兼ね合いで、リーダーシップは「企業が従業員の中に育成する特性であり、ビジネス目標の達成を支援し、企業の長期的な成功を確保するもの」と定義された。C-suiteと新入社員の両方が、品質や信頼性、誠実さ、革新性を成功のために最も重要な特性と認識している。

 さまざまな意見がある一方で、調査対象となったほとんどの人の考えがある点で一致していた。経営幹部の95%、新入社員の81%が「リーダーシップの考え方を全従業員に明確に伝えることが重要だ」と考えている。

 GEで人事戦略や人材、文化の育成を担当するローラ・ココッチア氏は「HR Dive」に対して次のように語った。

 「このような考えの一致は、リーダーシップの定義とコミュニケーション方法の両方を最適化すべきということだ。それらを意識的に実施することが重要な第一歩である。企業のリーダーシップに関する考えを伝えるのに最も適した人物は、従業員の直属の上司だ。彼らには、特定の状況に関する背景を伝えるだけでなく、リーダーシップのロールモデルを示すことが期待されている」

 これは、2022年に実施された調査の結果と一致している。その調査では、新たにリーダーになった従業員に、ハイブリッドワークやフレキシブルワークがもたらす文化的変化に対処するスキルを身に着けさせるためにコーチングが重要だと示された(注2)。企業はコーチングを活用して、従業員の幸福度を向上させ、女性リーダーを増やし、包括的なリーダーシップを強化する潜在的な可能性を認識していたということだ。

 ココッチア氏は次のように強調した。

 「組織は、リーダーシップの考え方を明確にするだけでなく、リーダーの行動を通じてそれを強化しなければならない。言い換えると、行動を通じて模範を示すことが重要だ」

 また、ココッチア氏は次のようにも述べている。

 ココッチア氏によると、オープンな対話を促進し、建設的で双方向的なフィードバックのためのチャネルを確立することも必要不可欠だという。これによって、リーダーはエンゲージメントとコミュニケーションに関する戦略を継続的に改良し、全てのチームが共感を得られるようにし、必要に応じてアプローチを進化できる。

 「興味深いことに、私たちの調査では新入社員の回答者の3分の2以上が、入社前に企業のリーダーシップに関する情報を積極的に求めており、それが入社の決定に影響を与えていることが分かった。新入社員が入社前からリーダーシップに関心を寄せているのであれば、企業のリーダーは、リーダーシップの考え方を整理して彼らに伝えることで、自社のブランドを強化できる」(ココッチア氏)

人事担当者にも変化が求められている

 HR Diveが発表した「2023 Identity of HR survey」において、新たな乖離(かいり)が明らかになった。2023年4月に発表されたこの調査では、人事担当者は従業員から高く評価されている一方で「企業リーダーとの関係では溝が深まっている」との回答があった(注3)。

 「このような流れを変えるために、人事担当者はより戦略的にリスクを取る必要がある」と資格認定の専門家は言う。「戦略的であるということは、データに従い、調査に基づいて提案を行い、未知の領域で積極的に行動することを意味する」とあるCHRO(最高人事責任者)は述べた。

 「過去2〜3年の出来事によって、人事部門と企業のリーダーは、職場におけるダイナミックな変化をリードする状況に直面しているのだろう」とGEのココッチア氏は指摘する。

 「パンデミックでは、リーダーはチームとの関わり方を大きく調整する必要があり、そのためには絶え間ない適応と深い共感が求められた。また、DX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みが加速し、リーダーは継続的に学習する企業文化を作り上げなければならなくなった」と彼女は言う。

 「GEの調査に回答した新入社員の80%を含む新たなリーダーたちは、これをリーダーシップの訓練および成長の機会と捉えており、意義のあることだと考えている」とココッチア氏は強調した。

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