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変化する週4日勤務の目的 従来型との違いとその効果は

パンデミック後、生産性と仕事の再設計を目的に、週4日勤務の就労モデルを採用する企業がある。その特徴と実現方法を紹介する。

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HR Dive

 1970年代以降、企業は週4日勤務を試行してきた。そして、パンデミック後の現在、生産性と仕事の再設計に焦点を当てた新たな就労モデルが登場した。

 新しいモデルの週4日勤務には「40時間の仕事を4日に凝縮する」こと以上の意味があるという。新しいモデルの週4日勤務の特徴と、その実現方法とは。

週4日勤務で必要な3つの「革新的な行動」

 The Josh Bersin Co.とWork Time Reduction Center of Excellenceの分析によると、週4日勤務を成功させるためには(注1)、CHRO(最高人事責任者)をはじめとする組織のリーダーは、意識的に仕事を再設計し、従業員がテクノロジーを駆使し、生産性向上や時間節約のためのツールを受け入れられるようなステップを踏まなければならないという。

 研究によると、週4日勤務のモデルは、3つの「革新的な行動」に基づいて構築されるべきだという。

 第1に、時間ベースではなく、成果で仕事を評価することだ。これには、どの仕事が成果に貢献しているかを評価し、各タスクやプロジェクトに説明責任を課すことが含まれる。

 第2に、従業員が「トップ・オブ・ライセンス(自分にしかできないことに集中すること)」に注力し、邪魔な会議や管理業務に気を取られないようにするなど、生産性へに焦点を当てた方法を導入することだ。

 第3に、柔軟性と従業員の自主性に対する新しいアプローチを育成することだ。これには、非同期コミュニケーションを採用し、従業員に独自の生産性向上の方法を採用する権限を与えることなどが含まれる。

 テクノロジーで人事業務を支援するThe Josh Bersin Co.の産業アナリストであるジュリア・バーシン氏は、2023年11月29日の発表で次のように述べた。

 「これは単なる福利厚生以上のものであり、組織が働き方を変革し、生産性を向上させ、従業員が最も重要なことに集中するのを阻害する障害を取り除く機会である」(バーシン氏)

週4日勤務に新しいモデルが登場

 Josh Bersinの調査によると、1970年代以降、組織は週4日勤務を試行してきた。そして、パンデミック後、生産性と仕事の再設計に焦点を当てた新しいモデルが出現している。

 この調査では、週4日勤務の試験導入に成功した中規模組織の取り組みを分析した。トロントのマーケティングエージェンシーでは、従業員のメンタルヘルスが26%向上し、ワークライフバランスが42%改善した他、社内業務や管理業務に費やす時間が15%減少した。英国の環境コンサルタント企業では、生産性が22%向上したという。

 非営利団体の4 Day Week Globalも6カ月間の試験的なプログラムを実施し(注2)、同様の成果を得た。4 Day Week Globalは、2023年3月のリリースで「参加企業60社の売り上げが前年同期比で35%増加した」と発表した。同時に、雇用が増加し、欠勤が減少した。この結果を受けて、参加企業の91%が週休4日制の継続実施を計画している。

 転職を支援しているResumeBuilder.comの2023年8月の報告書によると、オフィスワーカーも週4日勤務に魅力を感じているという(注3)。約10人に8人が「週4日勤務の方が生産性が上がる」と答えた。さらに、4人に3人は「週4日勤務のために転職を考え、3人に1人は週4日勤務のために減給を受け入れる」と回答した。

 IndeedのHiring Labによる2023年11月の報告によると、週4日勤務を採用する求人広告は着実に増加しているものの(注4)、全体としてはまだ少ない。報告によると、特に動物病院で求人数が増え、次いで、工業技術、運転、建築の仕事に関するものだった。

 しかし、週休4日制は誰にでも適用できるものではない。従業員の表彰に関するサービスを提供するある企業は、工場で働く従業員にもオフィスで働く従業員と同じ柔軟性を提供しようと(注5)、週4日勤務を導入した。同社は、製品を毎週金曜日に出荷し続けられるように、従業員の労働を火曜日から金曜日までのシフトを含む週に4回の10時間労働に切り替えた。

 この移行は、安全性や残業に関連する問題、そして従業員が金曜日に働くことに抵抗感を覚えたなどの、幾つかの理由からうまくいかなかった。しかし、同社の幹部の1人によると、この経験を通じて同社はビジネスについて多くを学び、従業員の声を聞き、彼らを気にかけていることを示す機会を得たという。

 Josh Bersinの報告書は、移行を目指す組織に対するヒントを提示している。単に「40時間の仕事を4日間に凝縮する」ことに焦点を当てるモデルよりも、真の「労働時間の削減」と、成果を通じて仕事を評価し、従業員の集中力や柔軟性、自律性を高めるような実践を組み合わせたアプローチの方が優れている。

 「週4日勤務の導入には大変な努力が必要であり、多くの場合、企業文化の変革が必要だが、私たちの調査は、それが大きな利益をもたらすことを示している」(バーシン氏)

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