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想像以上に歴史を変えてきたMRP “3人の始祖”から振り返る(2/3 ページ)

ERPの祖先的存在でもあるMRPには半世紀以上の歴史があり、製造業の在り方を長年にわたり大きく変えてきた。本稿ではMRPの始祖とされる3人から歴史を振り返り、そのメリットデメリットを見直していく。

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製造業におけるMRP

 MRPは製造工程の効率化や有効性、収益性確保のために欠かせない。適切な資材と部品が手元になければ、コストと品質による製品需要への対応は望みようがない。需要変動に生産調整で対応することも難しくなる。

 また、組立や梱包といった生産後の工程でも、MRPによって在庫の不確実性が取り除かれ、在庫管理にかかる時間が最小化されると、進行が円滑で予測可能なものになる。

 なお、MRPはディスクリート製造とプロセス製造のどちらでも有効だ。ボルトや組立部品、自動車のような個別に数え上げられるものが完成品なのがディスクリート製造なのに対し、プロセス製造では、化学製品やソフトドリンク、洗剤など、個別に数えることも構成部品に容易に分割することもできないものを大量生産する。

MRPのメリット

 MRPの第一義的な目的は、生産プロセスの必要に応じて資材と部品を確保し、スケジュール通りに生産が進むようにすることだが、他にも次のようなメリットがある。

  • 顧客リードタイムの短縮による顧客満足度の向上
  • 在庫コストの削減
  • 製造効率の向上。正確な計算で労働力と設備の利用を最適化する
  • 労働生産性の向上
  • 価格設定における競争力の向上
  • 効果的な在庫管理と最適化。調達する在庫や製造する在庫の量と種類を最適化することで、在庫切れのリスクと顧客満足度や販売、収益に対する在庫切れの悪影響とを在庫コストを必要以上にかけることなく最小化できる

MRPのデメリット

 MRPには次のような欠点がある。

  • 在庫の供給過剰: MRPは必要に応じて十分な在庫を確保するように設計されているが、企業が必要以上の在庫を確保する誘惑に駆られることで、結果として在庫コストがかさむことがある。また、MRPは在庫不足に備えるため、在庫のロットサイズとリードタイムの見積もりが過剰になる可能性がある。特に導入当初は、ユーザーがまだ実際の必要量を経験から把握できない
  • 柔軟性の低下: 基準日程生産計画に影響する事柄(資材配送を遅延させる問題や工場労働者の効率)やリードタイムの計上の仕方において、MRPは単純化しすぎて融通が利かない部分がある
  • データの完全性要件: MRPは需要や在庫、生産をはじめとする重要な入力情報の正確性に大きく左右される。不正確な入力が少しでもあると、後の段階でずれが大きくなる可能性がある。MRPを効果的に活用するにはデータ完全性とデータ管理が欠かせない

 MRPのこうした欠点に対処するため、APS(Advanced Planning and Scheduling)ソフトウェアを使う製造業者が多い。APSは高度な数学と論理でリードタイムをより正確に現実に即して予測する。多くのMRPとの相違点はAPSが生産能力を考慮する点だ。生産能力は資材の可用性に大きく影響することがある。

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