再エネ系新電力のLooopがITSMツールを採用 月間25〜50時間の軽減見込む
再エネに特化して電力サービスを提供するLooopは、全社的なワークフロー基盤の刷新に向けて、あるITサービス管理ツールを導入した。ヘルプデスク体制の改善・強化や資産管理の自動化を図るために採用したツールとは。
再生可能エネルギー(再エネ)に特化した電力小売事業などを手掛けるLooopがITサービス管理(ITSM)ツールを採用し、ITガバナンスの刷新に取り組んでいる。
月間25〜50時間の軽減と、ユーザーの自己解決率の向上を見込む
Looopは2011年に創業し、再エネの普及に向けて電力小売や、太陽光発電システムを中心とした再エネ発電システムの開発や販売を展開している。
ビジネスが拡大する中で、ITガバナンスの向上を目的に全社的なワークフロー基盤(コミュニケーション基盤)の刷新を図っている。その一環として、同社は2024年3月、ITILに準拠したあるITSMツールの採用を決めた。
採用したツールの「決め手」は?
Looopが採用したITSMツールとは何だろうか。
Looopが採用したのはServiceNowのITSMだ。変更管理を中心としたIT開発・運用の高度化・最適化を目指し、同年3月から構築を開始してパイロット運用した後、同年6月にシステム稼働を開始した。
今後はポータル管理やインシデント管理、問題管理、ナレッジ管理、契約管理などに活用するとしている。導入と構築は、ServiceNowの認定パートナープログラムで「Elite」に認定されているロココが担当する。
Looopは、ServiceNowのITSMを採用した決め手として、サイロ化に陥る傾向が強いシステム環境を単一のワークフロー基盤で刷新できる点を挙げる。ServiceNowはITSM以外にもSaaS型デジタルワークフロー製品を複数提供しているため、ニーズやビジネス環境に合わせてDX(デジタルトランスフォーメーション)の高度化が期待できる点も評価した。
Looopは、今回の変更管理を中心としたIT開発・運用の高度化・最適化を、全社的なワークフロー基盤(コミュニケーション基盤)の刷新ロードマップにおける第1フェーズとして位置付けており、第2フェーズとなるヘルプデスク体制の改善・強化は2025年度以降に取り組む。その後、第3フェーズとなる資産管理の自動化とインフラ運用の高度化にも着手する。
Looopは、ServiceNowのITSMによってヘルプデスク業務を自動化することでアカウント発行などの定型業務をマニュアル化するとしている。システム統括部の業務時間が月間25〜50時間軽減され、ユーザーの自己解決率も向上すると見込んでいる。
Looopの梅田陽一氏(システム統括部部長)は、「再エネの分野は新たな技術や政策によりビジネス環境が目まぐるしく変わるため、社内外のステークホルダーと円滑なコミュニケーションを図る上でワークフロー基盤の刷新は最優先事項だった。ServiceNowのITSMは、既存のITシステムやツールを活用できる上、同社の製品群はアジャイルな開発手法であるため、当社のビジネス環境に適している。将来的にはServiceNowを営業や人事なども含めた全社コミュニケーションの基盤として活用したい」と述べた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ガリガリ君の赤城乳業が決めた「S/4HANA Public Edition」への移行 Fit to Standardへの覚悟を聞いた
「ガリガリ君」をはじめとした氷菓、アイス製品を製造、販売する赤城乳業は、SAP ERPの保守期限に対して決断を迫られていた。同社は検討の末、SAPのクラウド版ERP「SAP S/4HANA Cloud Public Edition」への移行を決断した。どのような検討が行われたのか、Fit to Standardをどう実現しているのかを聞いた。 - M365と既存システムの乱立で"業務はカオス" 農林中央金庫はどう解決した?
農林中央金庫は、業務プロセスの分断とコンテンツの分散による生産性の低下に悩んでいた。そうした中、同社はあるサービスを組み合わせて新しい情報共有基盤を構築した。その刷新プロジェクトの全貌とは? - 三井住友カード、生成AIとRAG活用で顧客対応時間60%短縮を目指す
多様な領域で生成AIの活用が急速に進んでいる。三井住友カードはコンタクトセンターの対応工数削減のために、生成AIの本番利用を開始した。 - パーソル、「GPT-4o」を社内AIアシスタントに実装 約2万人が利用
ユーザー企業やITベンダーで、最新言語モデル「GPT-4o」の実装が進んでいる。パーソルもその一社だ。