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生成AI時代でも議事録ツールに不満が集まる理由議事録作成に関するアンケート調査(2024年)/後編

近年は、AI技術の発展なども相まって議事録の作成、確認、共有などの作業を効率化、自動化するさまざまなツールが登場している。それらに期待が集まっている一方で、実際に導入した企業からは不満の声も寄せられた。どのような点が「イマイチ」なのだろうか。

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 議事録は会議内容の共有や確認に必須の文書だが、その作成や共有は担当者に大きな負荷がかかる。前編では、議事録を作成している企業の約8割が「負担を感じる」と回答した。

 こうした課題をどのように解決できるだろうか。後編では「議事録作成に関する調査(実施期間:2024年8月26日〜9月13日、回答件数:206件)」の調査結果を基に、議事録の作成や共有の課題を解消するソリューションの利用状況や利用企業の所感について紹介する。

 近年は、AI技術の発展なども相まって議事録の作成、確認、共有などの作業を効率化、自動化するさまざまなツールが登場している。それらに期待が集まっている一方で、実際に導入した企業からは不満の声も寄せられた。どのような点が「イマイチ」なのだろうか。

ツール利用満足度は35.1%……利用者が語る不満の理由

 議事録業務支援ツールの利用状況を調査したところ「利用している」は18.9%と結果となった(図1)。最多回答は「興味はある」(41.7%)で、「利用を検討している」(18.0%)を合わせると59.0%と、およそ6割は関心を示している状況だ。

 利用の目的は「議事録作成業務の効率化」(86.4%)がトップで、「議事録の品質向上」(42.6%)や「迅速な情報共有」(37.7%)、「会議、ミーティング内容の可視化」(36.4%)などが続いた。議事録業務の作成や確認、共有の各フェーズで課題があることが分かる。


図1 議事録業務支援ツールの利用状況

 全体の約6割が関心を示す議事録業務支援ツールだが、どのような機能とツールを利用、検討しているのだろうか。

 機能では「会議の内容を自動で文字お越しする(音声認識AI)」(68.4%)や「会議内容を録画、録音する(カメラ、レコーダーなど)」(44.7%)、「決定事項や要約をAIが自動で抽出する」(39.5%)が上位に挙がり、会議内容の記録や要約といった議事録”作成”工程での負担解消を支援する機能に票が集まった(図2)。


図2 利用、検討している議事録業務支援機能

 具体的なツールとしては、「会議の記録用のカメラ、レコーダー」(39.3%)や「Web会議ツール(例:Zoom、Cisco WebeX)」(29.1%)、「オフィス系ツール(例:Microsoft 365、Google Workspace)」(27.9%)、「AI文字起こしサービス(例:Otter.ai、Notta)」(21.8%)と続き、作成の課題に対応するツールに注目が集まった(図3)。


図3 利用、検討している議事録業務支援ツール

 会話をテキスト化する文字起こしは手間もかかるため、作業の効率化が特に求められるポイントだ。議事録業務支援ツールの選定時に重視することを聞いたところ「音声認識の精度が高い」(57.9%)が「コストが安い」(51.3%)を抑えて最多だった(図4)。


図4 議事録業務支援ツールの選定時に重視するポイント

 最後に、今後の利用増が見込まれる議事録業務支援ツールの満足度を紹介する。満足とした回答者は「とても満足」(4.9%)と「やや満足」(30.6%)を合わせ満足度は35.5%で、「やや不満」(41.7%)と「とても不満」(22.8%)を合わせた割合(64.5%)の方が多かった。

 満足とした回答者は、「Teamsの文字起こしと録音機能で、ほぼ問題ない。長い場合はCopilotなどで要約させている」や「Web会議システムの録音や文字起こし機能を利用しているが、それなりの精度がある」など、録音と文字起こし機能を組み合わせることで「ある程度内容の会議での発言内容の精査ができる」や「入力作業が減った」という効果を感じていた。

 一方、不満とした回答者は「日本語の語彙力が少ない。音声誤認識が多い」や「音声認識が甘く、文字起こし機能においても正確性に欠ける」など、録音と文字起こしの正確さに不満を持つ意見が多かった。

 中には「議事録に発言内容が必要なので、文字起こし精度はかなり重要」なのに「そのまま使うことができるほどの精度が出ていない」など、議事録で求められている要件に対応できる精度でないことを訴えるもあった。

 AI技術を使って自動で要約したり、好みのフォーマットで情報を整理できたりするツールもあるが「従来に比べ書き起こしの精度は高まっていると思うが、要点をまとめる機能については信頼しきれていない」や「機能として実装されている決定事項や要約の精度も低い」のように、精度に課題が残っているようだ。

 他にも、精度が高まらない要因として「話者が主語を省略して分かる人にしか分からない発言になっていること」や「マイクから取得した音声の品質に左右されること」を指摘する声もあり、解消策として「ツールが会議資料を事前に学習して、それをもとに発言のテキスト化を行えば発言をAIが類推することにより精度が上がるのでは」とのコメントもあった。

 ここまで企業における議事録の運用とツールの利用状況などを紹介した。全体の9割が習慣的に議事録を作成し、8割が「負担を感じる」としている一方、支援ツールの導入率は2割以下と、まだまだ効率化に伸びしろがあることが分かった。キーマンズネットでは、今後も議事録業務支援ツールの動向を追い、業務効率化の状況をお伝えする。

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