ChatGPTでガクンと減った“ある用途”とは? ビジネスにおける利用動向【野村総研調査】
日本の「ChatGPT」利用に関する野村総研の最新の調査によると、2023年の前回調査に比べてビジネスユーザーの利用方法に変化がみられるという。全業界で減った「ある用途」とは。
野村総合研究所(NRI)は2024年10月24日、日本の「ChatGPT」利用についてのレポートを発表した。
同レポートは、NRIが関東地方在住の15〜69歳を対象に実施したChatGPTの認知・利用に関するアンケート調査結果をまとめたものだ。同社は過去にも同様の調査を2回実施しており、今回のレポートは2024年9月7〜8日にインターネットで実施した3回目の調査結果についてまとめている。
大幅に減った「ある利用方法」とは?
今回の調査結果では、2023年6月に実施した前回調査と比較してChatGPTの認知率は68.8%から72.2%に拡大し、利用率は15.4%から20.4%に上がった。NRIは、認知率は頭打ち傾向が見られるものの利用率は伸びていると分析する。
職場でのChatGPT利用での不安や懸念 どう対処しているのか
職場におけるChatGPT利用の不安や懸念について、2023年6月調査と2024年9月調査とも、主な不安や懸念として挙げられたのは「回答が不正確な場合があること」(2024年9月調査では47.7%)、「AIに頼って自分で考えなくなること」(2024年9月では調査39.6%)だった。2023年6月調査からの変化としては、「AIに頼って自分で考えなくなること」が42.4%から39.6%に2.8ポイント減少し、「サイバー犯罪に巻き込まれる可能性があること」が17.5%から14.5%に3.0ポイント減少した。
ChatGPTの利用用途に変化 「人の代わりのコミュニケーション」が減少
職場におけるChatGPT利用用途としては、全体として「文章の作成」や「情報収集」のためにChatGPTを利用する傾向があり、特に「文章の要約」は2023年6月調査時の26.6%から31.4%となり、4.8ポイント増加した。ChatGPTの特性として、文章の要約であれば誤った情報が出力される可能性が低いことから利用が進んだ、とNRIは分析する。
一方、「人の代わりのコミュニケーション相手になる」については、16.2%から11.9%に4.3ポイント減少した。これについて業種別に詳しく分析したものが図表5だ。
「人の代わりのコミュニケーション相手になる」は各業界で減少傾向にあるが、特に飲食店や宿泊業、医療・福祉業においてはその傾向が強い。2023年6月調査時点では飲食店・宿泊業や医療・福祉業におけるChatGPTの利用用途として「人の代わりにコミュニケーション相手になる」を挙げる回答者が多かったが、それが全体平均とほぼ同じ割合に減少している。
NRIはこの理由について、飲食店や福祉業ではロボットによる配膳や介護支援が普及してきた中で、2023年6月調査時点ではChatGPTにコミュニケーション相手としての役割が期待されていたと考えている。しかし、現時点でのChatGPTの能力はそこまで至っていないことから大きく減少したことが伺えるとしている。
同様に、生成AIをコールセンターでの顧客対応で利用しようとしたところ、回答の精度が低く、実用には至らなかったというケースもある。これらを踏まえると、ユーザーが生成AIの現時点における「実力」を把握したと考えられるとNRIは分析する。
では、ChatGPTなどの生成AIが人の代わりにコミュニケーション相手になるのは今後も難しいのだろうか。セールスフォースが2024年9月から開始したAIエージェント事業「Agentforce」のように、ChatGPTなどの一般提供されている生成AIサービスと独自開発したAIを組み合せ、社内データをうまく活用することで、回答精度を著しく高めるような取り組みもある。NRIは、今後の技術進化によって「人の代わりのコミュニケーション相手になる」という回答は再び増える可能性もあるとしている。
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