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2025年 IT投資の“本命”は? AI時代に「AIよりも重視される」あの項目7つのトピックス 2025

生成AIをはじめとするAIの導入が本格化する中で、「2025年に投資を予定している項目」としてAIよりも多くの票を集めたものとは。キーマンズネットの読者調査を読み解く。

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 キーマンズネット編集部は2025年に注目すべきトピックスとして「セキュリティ」「生成AI/データ分析」「コミュニケーション/コラボレーション」「IT人材」「VMware移行問題」「PC事情(AI PC/Windows 11)」「レガシーモダナイズ」の7つのトピックスを抽出し、読者調査を実施した(実施期間:2024年10月25日〜12月6日、有効回答数427件)。

 今回は番外編として「IT投資」を取り上げる。

 生成AIをはじめとするAIの導入が本格化する中、AI関連の投資増を予定する企業は多い。しかし、キーマンズネットの調査で「2025年度に予定しているIT投資」を尋ねたところ、最も票を集めたのは、生成AIやAIとは異なる項目だった。

 企業が今最も注力している項目とは何か。また、IT投資の注力ポイントは従業員規模によってどこが変わるのか。

IT投資の本命は? ぶっちぎりの1位は「あの項目」

 まず、2025年度のIT予算について尋ねたところ、2024年度比で「増額」は15.0%、「減額」は6.1%、「ほぼ同じ」は50.4%だった。

 「増額」が前回調査から0.4ポイント増加する一方で、「減額」も0.2ポイント増加した。全体的にはわずかではあるが、増加傾向は続いているとみてよさそうだ。

「Windows 10」サポート終了の影響は?

 前回調査では「重視している項目」と「投資を予定している項目」との間にギャップがあったが、今回調査では「重視している項目」と「投資を予定している項目」がある程度重なる結果となった。

 「重視している項目」として最も票を集めたのは「セキュリティ対策」(53.2%)で全ての項目の中で唯一過半数を占めただけでなく、2位以下とは20ポイント以上の差がついた。他には「生成AI」(26.9%)、「データ活用/分析」(23.9%)、「社内IT基盤(サーバ/ストレージ/ネットワーク)」(23.4%)、「紙の電子化、ペーパレス化」(19.9%)が上位に挙がった。

図1 IT投資で重視している項目
図1 IT投資で重視している項目

 「投資を予定している項目」として最も票を集めたのも「セキュリティ対策」(32.8%)で、2位以下を10ポイント以上引き離した。他には「PC/PC管理」(21.3%)、「生成AI」(21.1%)、「社内IT基盤(サーバ/ストレージ/ネットワーク)」(18.7%)、「データ活用/分析」(15.2%)が上位に挙がった。

図2 IT投資を予定している項目
図2 IT投資を予定している項目

 全体として同じ項目を比べた場合、「重視している項目」として選んだ回答者の割合の方が、「投資を予定している」割合よりも高い傾向にある。つまり、重視していても実際の投資行動には結びつかないパターンがある程度含まれているわけだ。

 こうした中で唯一、「PC/PC管理」は、「重視している項目」として選んだ回答者の割合よりも、「投資を予定している」項目として選んだ回答者の割合の方が高くなった。この背景には「Windows 10」の2025年10月に予定されているサポート終了(EOS)を見据えて、「Windows 11」の要件を満たすPCへの買い替え需要があると思われる。

「セキュリティ」への投資がさらに増加 その背景は?

 「重視している」「投資を予定している」ともに1位となった「セキュリティ」についてさらに見ていこう。

 実はセキュリティは前回調査でも「関心のある項目」(46.5%)、「投資予定の項目」(33.7%)ともに1位だった。「関心のある項目」「重視する項目」としては6.7ポイント増加し、「投資予定の項目」としてほぼ変化がなかった。

 今回調査で2024年度と比較した予算の増減予定を尋ねたところ、「セキュリティ対策」を「増額する」という回答は15.2%で、「ほぼ同額」という回答が49.6%、「減額する」という回答は2.8%にとどまった。セキュリティへの注力度は2024年度に比べて増していると解釈していいだろう。

 企業がセキュリティに注力する背景には何があるのか。

 第1回の記事によると、前回調査に比べて「被害に遭った」と回答した企業の割合には変化が見られないものの、被害内容として「外部からのサイバー攻撃」が81%を占めている(複数選択可)。前回調査比で「外部からのサイバー攻撃」が9.6ポイント増加していることから、危機感を強める企業が増えているようだ。

 従業員規模で見ると、101人以上の企業層では16%以上が「増額」という回答を選んだのに対し、100人以下の中小企業では「増額」という回答は11.4%だった。中小企業が「減額」を選んだ割合は0.8%と全体(2.8%)と比べて2ポイント低いことから、中小企業の危機感が他の企業層に比べて低いと言えるかどうかは判断に迷うところだ。

関心と投資行動の結び付きが強まる「生成AI」

 ちなみに2024年度と比較して投資額を「増額」するという回答が最も多く集まった項目は「生成AI」(21.8%)で、逆に「減額する」という回答が最も多く集まった項目は「テレワークの環境整備」(9.6%)だった。生成AIブームの継続と、テレワークの環境整備がある程度完了したことが感じられる結果となった。

 特に生成AIは前回調査では関心の高さ(「関心のある項目」としては45.3%)とは裏腹に、実際に投資を予定している企業の割合は16.3%とそのギャップが目立ったのに対し、今回調査では「重視している項目」として選んだ回答者の割合は26.9%と少し落ち着いたものの、「投資を予定している」回答者の割合は21.1%と4.8ポイント上昇している。関心の高さと投資行動の結び付きが強まっているといえそうだ。

 こうしたことから、生成AIが一時的なブームに終わらず、投資額はさらに増える傾向にあることが分かる。一方で、生成AIへの投資を予定していない企業は現時点で過半数を占める。

 企業規模別にみると、5001人以上の企業では39.8%が投資を予定している半面、1000人未満の企業層で投資を予定してる割合は2割に満たず、100人以下の企業では10%を切っている。

 生成AIを活用するかどうかが今後どのような結果につながるのか。引き続き調査していきたい。

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