Microsoft 365 Copilotは何に一番役立つの? ユーザーの本音:Microsoft 365 Copilotの利用状況/前編
Microsoft 365とCopilotの統合が進んでいる。「Microsoft 365アプリ」の名称は、「Microsoft 365 Copilotアプリ」に変わり、あらためて「Microsoft 365 Copilot」も「Microsoft 365 Copilot Business Chat」(以下、Microsoft 365 Copilot)に変更された。
Microsoft 365がAIを統合したツールとしての存在感を増す中、Microsoft 365 Copilotの利用率も大きく向上した。キーマンズネットの調査、「Microsoft 365 Copilotの利用状況実施期間:2023年1月6日〜17日、回答件数:169件)においては、Microsoft 365ユーザーの27.6%はMicrosoft 365 Copilotを利用したことがあり、前回調査の8.7%から大幅に増えたことが分かる。
こうしたユーザーは、実際にどのような業務にAIを利用し、どのような効果を感じているのか。読者調査を基に解説する。
Microsoft 365 Copilotで一番「使える」活用法は?
導入率が上がった背景には何があるのだろうか。Microsoft 365 Copilotを導入、検討している回答者に目的を聞いたところ「業務効率化」(78.9%)が最も多く、「生産性向上」(62.9%)、「人件費や時間コストの削減」(26.3%)、「社内知識共有の強化」(22.8%)、「意思決定の迅速化」(20.0%)が続いた(図1)。
利用用途は、「文章、資料作成支援」(82.5%)、「会議、議事録作成サポート」(50.9%)、「アイデア生成」(40.4%)が上がった(図1)。アプリケーションについては、「Microsoft Word(文書作成や要約)」(64.9%)や「Microsoft Excel(データ分析や自動化)」(54.4%)、「Microsoft Teams(会議議事録やタスク提案)」(50.9%)、「Microsoft PowerPoint(スライド作成やデザイン提案)」(49.1%)の利用率が高かった(図2)。
なお、回答者を導入ユーザーに絞ると、利用用途は「文章、資料作成支援」(82.9%)、「会議、議事録作成サポート」(54.3%)、「ドキュメント検索」(42.9%)となり、ドキュメント検索が3位に浮上した。Microsoft 365内のデータを横断で検索できることで「あの情報はどこにいった?」という状況がなくなる利便性が評価されているようだ。
利用アプリケーションも「Microsoft Word(文書作成や要約)」(68.6%)や「Microsoft Teams(会議議事録やタスク提案)」(57.1%)、「Microsoft PowerPoint(スライド作成やデザイン提案)」の利用率が高く、主にドキュメントや資料の作成、検索の効率化に使われているようだ。
導入ユーザーにおいてMicrosoft Excelの利用率が低い背景としては、Microsoft ExcelにCopilotを利用したい人は多いものの、現状では初学者をサポートするような機能が多く、データ分析など高度な使い方をしたいというニーズと合致していないという声も聞かれた。
こうした用途で導入ユーザーは効果を感じているのだろうか。Microsoft 365が「役立つ」(62.9%)と「非常に役に立つ」(25.7%)と答えた回答者は88.6%だった(図3)。
理由は2つに分けられた。1つ目は、時間削減効果が高いことだ。「会議の要約作成は利便性が高い」や「手打ちで作成していた議事録をほぼ自動で瞬時に作成できる」「文章作成の時間短縮に使える」「文章を作る際のたたき台になる」「要約が楽になった」など、ドキュメント作成の工数が削減できるという声が多かった。
2つ目は「思考整理を支援してくれる点」だ。「考える時間を減らせる」など手を動かす前の思考を整理するプロセスで役立つとのコメントが多く寄せられた。Microsoft 365 Copilotは思考整理のための機能がある。ドキュメント作成時は、「アイデアから始める」を選択すると、「どのようなドキュメントを作成したいか」といった質問が投げかけられ、応答を重ねながらドキュメントを作成できる。その他、「最新情報だけでなく、前バージョンの情報も取得できるので、変化の方向性を判断する材料になる」など、壁打ち相手として最適だという声もあった。
一方、役立たないとした回答者からは「業務に適用できていない」や「日常で定型的に使えてないから」「もっとたくさんの活用方法がありそうだが、限定的にしか利用していない」といった声があった。
Microsoft 365 Copilotは、他のITツールと同様に、導入後の普及が難しいとする企業は多い。ライセンスをユーザーに割り当てたからといって、活用が進む例をほとんど見たことがないという意見もある(詳しい解説はこちら)。「何に使えるのか分からない」「いつ使ったらよいのか分からない」と悩むユーザーが多いため、Microsoft 365がどのように役立つのかを示す利用例をユーザーと共有したり、活用につまずくユーザーをサポートしたりする施策が求められる。
そこで後編では、導入企業が実行している活用推進施策について解説する。
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