AIで市場調査は効率化できるのか 現場の実感とは
ネオマーケティングは市場調査におけるAI活用の実態と課題を明らかにした。短時間での情報収集やレポート作成に高評価が集まる一方、精度や信頼性への懸念も根強く残っている。自社内での活用体制構築が進む中、今後の進化に期待が集まる。
ネオマーケティングは2025年5月2日、市場調査業務とAIに関する調査結果を発表した。調査は2025年3月21日から22日にかけてオンラインで実施され、全国の22歳以上の有職者のうち1000人を対象とした調査であり、3カ月に1回以上の頻度で市場調査を実施している。
AI導入で変わる市場調査業務、現場の実感とは
市場調査業務にAIを活用している人のうち、30%以上がデータと情報の短時間収集やレポート作成の効率化に高い満足感を示した。AIによる情報処理の自動化が業務の再現性向上や作業負担の軽減に寄与している実態が明らかとなった。一方、AI活用の広がりで調査業務の外注頻度にも変化が生じつつある。過去に外注経験がある回答者のうち、66.7%がAIの導入で今後は外注が減ると見込んでいる。ただし27.2%は外注頻度はあまり変わらないとみており、専門性の高い業務については引き続き外部リソースを活用する傾向も見られた。
AIが活用されている業務フェーズは、「データ分析・統計AI」(37.7%)や「資料作成AI」(33.2%)、「マーケティングAI」(31.3%)、「文章作成・要約AI」(30.1%)が上位に挙がった。一方で課題としては「人による確認や修正が必要」(28.5%)、「情報・データの信頼性や正確性に不安がある」(24.6%)など、出力の精度や品質に対する懸念が上位に並ぶ。また、「活用スキルの不足」(24.2%)や「分析結果の解釈の難しさ」(23.8%)といったリテラシーの壁も依然として大きいことが分かった。
今後AIに期待される機能としては、「情報・データの正確性向上」(37.9%)や「低コスト化」(34.4%)、「トレンド情報の常時アップデート」(28.5%)が上位を占めた。さらに「誰でも手軽に利用できるシステム設計」や「根拠・エビデンスの明確化」といった、ユーザー側の負担軽減を求める声も多い。
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