「RPAは中小企業では無理」? リコーが社内実践を生かした支援パッケージを提供
大企業での活用が進む中、中小企業における新規導入が頭打ち傾向にあるRPA。リコーが社内での実践を生かして中小企業向けに展開する支援パッケージとは。
RPA(Robotic Process Automation)による業務自動化は、繰り返しの多い定型業務を大量に抱える企業にとって魅力的だ。しかし、ロボットの作成や、作業手順を変更した際の対応などがハードルになり、中小企業での新規導入数は頭打ち傾向にある。
こうした中、リコージャパンは自社(リコージャパン広島支社)でRPAを活用した経験を基に、中小企業に向けた支援パッケージ「定型業務自動化パック」を展開している。
確認作業をRPAで「100%」削減 広島支社の実践
リコージャパン広島支社(以下、広島支社)は、RPAを活用した社内業務の自動化と効率化を進めている。広島支社はPKSHA AssociatesのRPAソフト「ロボオペレータ」で定型業務を自動化し作業時間を削減した。
広島支社がRPAを利用して効率化を図った業務とその成果とは。
まずリコージャパンによると、ロボオペレータは直感的に操作可能で「Microsoft Excel」を扱える程度のスキルがあれば自動化のシナリオを構築できる使いやすさが特徴だという。プログラミングの高度な知識は必要なく、専門スキルのない現場担当者にもロボットを作成できる。業務フローを変更した場合も、ロボットを簡単に修正できるため業務マニュアルを修正する感覚でメンテナンスを実施できるという。
広島支社で実施した業務を自動化は次の通りだ。
ロボオペレータで電話対応の記録から内容や結果を抽出して文章化し、日報に自動入力するようにした。その結果、1回の入力作業にかかる時間が60分から8分に短縮され、作業時間はトータルで約87%削減されたという。
また、発注した商品の納期を抽出して一覧できるようにすることで、案件ごとに確認する手間が省けた。この結果、1日当たり3時間かかっていた確認作業そのものを撤廃した。
社内向け案内メールの作成と送信も自動化した。案件の進捗状況や、各営業所の活動状況といったデータを集計した上で、電子メール文面の作成や送信を自動化した。案内メール作成と配信作業にかかっていた時間が60分から5分に短縮され、作業時間は合計約92%削減された。
RPAで自動作成された文章は、担当者が作成したものと遜色(そんしょく)ないと社内で好評だった。これらの業務自動化により、広島支社では作業効率が大幅に向上し、現場の負担が軽減された。また、業務プロセスの見直しや改善が進み、新たな効率化にもつながったという。
自社でのノウハウを生かした支援パッケージ
リコージャパンは広島支社での実践を生かし、RPAによる業務改善を支援する「定型業務自動化パック」を提供している。
情報システム部門を設置していない中小企業ではロボットの作成やシナリオの変更などに社内では対応できず、その都度費用がかかるRPAの導入はハードルが高い状況だった、と同社は分析する。
リコージャパンによると、RPAを導入した顧客企業からは「情報システム部門ではRPAを導入しているが、現場業務まで手が回っていない」「IT担当者に現場業務を説明するのも大変」といった課題が挙がっていた。
広島支社でRPAを活用している様子を動画や資料にまとめて展示会などで紹介したところ、中小企業から「業務効率化にRPAを活用したいが、何からはじめたらいいか」「RPAをどうやって導入すればいいか分からない」といった相談が増え、2025年3月のサービス開始に至ったという。
「定型業務自動化パック」では紙帳票からのデータ転記やデータ整理、基幹システムへのデータ入力作業といった一連の業務を、ロボオペレータやOCR変換ソリューションでロボット化する商品構成だ。
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