KDDI、auショップの4万台のスタッフ用端末を可視化、誤契約を16%削減
KDDIは店舗受付システムにPendoを導入し、ユーザー行動を可視化して業務改善を進めた。誤契約16%削減やスタッフの対応力向上など、現場に即した成果を実現し、今後もサービス高度化に向けてDXを加速させるとしている。
Pendo.io Japan(以下、Pendoジャパン)は2025年4月30日、KDDIがPendoのプラットフォームを活用し、店舗向けシステムのデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進した事例を公開した。
KDDIが実践する店舗のDX化、Pendo導入で現場力を強化
KDDIは全国約1万拠点に展開する店舗でタブレット端末を使った店舗受付システムを運用している。同システムは約4万台のデバイスで利用され、店舗スタッフの業務効率化に寄与しているが、取扱商材の増加に伴い、ユーザーインタフェースやワークフローの複雑化が課題となっていた。これに対応するため、KDDIはPendoのアナリティクスとアプリ内ガイド機能を導入し、システムの利用状況の可視化を図った。
Pendoはノーコードで導入可能なプロダクト体験プラットフォームで、アナリティクス、アプリ内ガイダンス、フィードバック収集機能を統合して提供する。ユーザーの行動や傾向を基にパーソナライズした体験を実現することで、非技術系部門でもプロダクト改善に貢献できる点が特徴とされている。
Pendoアナリティクスの導入でKDDIはシステムの利用実態を定量的に把握できるようになった。従来、定性的なフィードバックを中心に改修要望が出されていたが、利用ログの視覚化で画面遷移の複雑性や特定機能の使用頻度といった情報を洗い出し、改修の優先順位付けや企画部門との合意形成が容易になることで開発時間やコストの削減が期待される。
具体的な成果として、誤った契約手続きの防止を目的とした新機能の導入後、警告機能で誤契約の発生が16%削減できたことがPendoの分析データから確認できた。新機能の効果検証も短期間で実施できるようになった。
またアプリ内ガイドの活用も進んでいる。店舗スタッフ向けにガイドを表示することでマニュアル閲覧やサポートセンターへの問い合わせが減少。システムアップデートの通知にガイドを活用した結果、初日で57%のスタッフがバージョンアップを実施し、従来の40%から大幅な改善が見られた。情報へのアクセス性が向上し、現場対応力の強化につながった。
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