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オンプレミスで「非仮想化」を選択する中小企業が6割にのぼる理由

中小企業の約75%がオンプレミスを採用しており、そのうち非仮想化の物理サーバが全体の6割を占める。その理由は。

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 デル・テクノロジーズ(以下、Dell)は2025年5月12日、国内中小企業における生成AI活用の現況とITインフラに関する動向をまとめた調査結果「中小企業のPC・IT動向調査2025冬」を公表した。報告書では中小企業におけるサーバ導入の実態を明らかにしている。

 全体の約75%がサーバを導入しているが、非仮想化の物理サーバが全体の6割を占めた理由とは。

Dell調査にみる中小企業のインフラ進化の現在地

 「中小企業のPC・IT動向調査2025冬」の第2部によると、中小企業の約75%の企業が1台以上のサーバを導入しており、企業規模が大きくなるほど導入率は高まる傾向がある。特に製造業や情報・通信業では導入率が高く、業務におけるサーバの必要性が高い。

 サーバの用途としては、ファイルサーバが圧倒的に多く、次いでバックアップ、アプリケーション、データベースサーバが利用されている。中小企業向け業務システムではアプリケーションサーバの導入が推奨されることが多い他、データベースサーバがWeb連携などで広く利用されている。これらの用途に対応するため、オンプレミスサーバの需要が根強いことが分かる。

 オンプレミスサーバの導入形態については、非仮想化の物理サーバが全体の6割を占めており、多くの企業がサーバ統合のための仮想化を進めていない。その理由として、主にファイルサーバ用途での利用が多く、仮想化によるメリットが少ないためと考えられる。また、オンプレミスを選ぶ理由には、既存システムとの連携のしやすさやレスポンスの良さが挙げられた。

 一方で、オンプレミスサーバの運用には課題も多く、特に運用負荷の大きさや人材不足が問題となっている。システム管理者が少数しかいない、あるいは兼任している中小企業にとって、オンプレミスの維持管理は大きな負担であり、多くの企業がこの要因によって導入をためらっている。

 クラウド(IaaS)の導入率は全体の48%で、「Amazon Web Services」(AWS)と「Microsoft Azure」が主要な選択肢となっている。クラウド導入の理由としては、運用管理負荷の軽減やセキュリティ保全が挙げられ、課題としては運用コストの高さやセキュリティへの懸念、クラウド特有の運用ノウハウを持つ人材の不足が指摘されている。

 SaaSの導入率は全体の73%に達しており、特に「Microsoft 365」の利用が際立っている。SaaSは運用管理負荷の軽減に寄与し、中小企業にとって扱いやすい選択肢となっている。一方で、クラウドとオンプレミスの併用によるハイブリッド運用を採る企業も多く、インフラ構成は一様ではないことが分かる。今後もコストと運用負荷のバランスを取りながら、柔軟なITインフラの選定が求められている。

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