ZOZOが明かす、1年使って分かった「GitHub Copilot」のリアルな効果
ZOZOは「GitHub Copilot」をエンジニア業務の中核に据え、開発支援に活用している。アクティブユーザーは約600人に達し、提案採用回数やチャット活用も増加。新機能の導入により作業効率が向上し、勉強会を通じて社内共有も行われている。
ZOZOは2025年6月6日、エンジニアの開発業務における生成AIの活用状況を公開した。2023年5月に導入した「GitHub Copilot」を中心に社内での利用が進み、同社ではもはや開発に欠かせない「インフラ」になっているという。
GitHub Copilotが変えるZOZOの開発現場
同社のGitHub Copilotのアクティブアカウント数は約600に上る(2025年5月末時点)。コード補完機能「Code completion」による提案は月あたり約33万回に達し、そのうち約10万回が受け入れられている。「GitHub Copilot Chat」機能では月間約1万5000回のやりとりが行われ、そのうち約2000回が実際の開発に活用されている。
2025年4月にアップデートされ一般提供が始まった「GitHub Copilot Agent mode」と「GitHub Copilot code review」についても、同社の全エンジニア約550人が利用可能な体制を整備した。
「GitHub Copilot」のAgentモードの活用事例として、Androidアプリ開発時におけるライブラリの切り替え作業への活用が挙げられる。従来の「Epoxy」から「Jetpack Compose」への変更作業では80ファイルを分割して書き換える工程をCopilotに任せ、エンジニアは最小限の介入で作業を完了させた。発生したビルドエラーについてもCopilotに指示を与えることで問題を解決できた。
「GitHub Copilot Code Review」は単なる記述ミスの指摘にとどまらず、Pull Requestの説明文の自動生成や、コードとログ出力の不一致の検出、さらにはコメントの追加による開発者の意図の明確化など、より高度なコードレビューの支援が可能だ。
生成AI活用の社内推進を目的に、ZOZOでは勉強会も実施している。テーマは「NotebookLM Plusをはじめとする生成AIを活用したツール」「GitHub Copilot Agent modeやCline/Roo Code、Devinなどのエージェント型AIツール・サービス」「MCP」の3つに分けられ、延べ約300人が参加。活用事例や知見の共有が促進されている。
GitHub Copilot以外の生成AIツールについても、必要に応じて導入を検討しており、「Cline」「Roo Code」「Devin」など複数のサービスについて現在も検証を進めている。Copilotを基盤としつつも、技術の進展に応じて柔軟に対応する構えだ。
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