問い合わせ担当者の半数が悲鳴を上げる"見えない負担"の正体
Altam Easeは問い合わせ対応担当者200人への調査結果を公表した。調査により、現場で大きな負担となっている要因や、AI活用における課題が分かった。
Altam Easeは2026年5月12日、問い合わせ対応業務に従事する担当者200人を対象とした調査の結果を公表した。優先度判断や要件整理、対応履歴の入力などが大きな負担となっている実態が明らかになった。また、AI活用について、現場が求める要件も浮かび上がった。
担当者の負担増やす要因は? AI活用に求められる業務も明確に
調査においては、現場担当者が日常業務の中でどのような負担を抱えているか、どの領域でAIやシステム化への期待を持っているかについて分析された。
問い合わせ対応全体の負担感を尋ねた設問においては、「やや負担が大きい」が27.5%で最多となった。「負担が大きい」は19.0%で、両者を合計すると46.5%に達した。半数近い担当者が、強い負担を感じている。
背景には、単純な問い合わせ件数の多さだけではない事情がある。現場では、内容確認や関係部署との連携、返信文面の作成、履歴入力など、複数工程が発生している。対応中に別案件が割り込むことで、集中力の維持が難しい状況も多い。問い合わせ処理は表面上の応答時間だけでは測れず、業務全体を圧迫する存在になっている。
負担や課題の内容を尋ねた項目では、「とくに課題はない」が24.0%で最多だったものの、具体的課題も多く挙がった。「緊急度/優先度の判断が難しい」が23.0%、「内容の整理・聞き取りに手間がかかる」が22.5%、「対応品質が人によってばらつく」が20.5%となった。
調査結果から、問い合わせ対応の難しさが「返答作業」だけではない点も見えてきた。問い合わせ担当者は、相手の要望を正確に把握し、重要性を判断して、適切な担当者や部署へつなぐまでに多くの時間を費やしている。特に、優先度の判断は経験則に依存しやすく、心理的負荷につながりやすい。
初動工程への負担も顕著だ。「受付から要件把握まで時間がかかる」は19.0%、「同じ内容の問い合わせが繰り返される」は17.5%、「担当部署への振り分けが難しい」は17.0%となった。問い合わせ到着直後の整理作業に時間を取られている現場像が読み取れる。
運用管理面においては、「対応履歴の記録が負担」が16.5%、「折り返し漏れや対応漏れが発生しやすい」と「営業時間外対応が難しい」が各13.5%だった。「FAQ/ナレッジが整っておらず、探すのに時間がかかる」も11.0%あり、情報検索の非効率さも浮上した。
AIに任せたい業務は「対応履歴の自動記録」が最多
AIやシステム化で任せたい業務を尋ねた設問では、「対応履歴の自動記録」が18.0%で最多となった。その他、「一次対応と要件整理」(17.0%)や、「通話やチャット内容の文字起こし」「対応内容の自動要約」(各16.0%)が続いた。
この結果から、現場担当者はAIに全面的な回答代行を求めているわけではなく、事務処理や情報整理の支援を期待している傾向が読み取れる。問い合わせ業務では、回答後にも記録作成や申し送りが必要となるケースが多い。件数増加に伴い、こうした付随作業が大きな負荷になっている。
また、「担当部署への自動振り分け」は15.5%、「回答候補の提示」は12.5%、「緊急度判定」は12.0%だった。AIには最終判断の代替よりも、担当者が判断しやすい材料提示役としての機能が求められている状況がうかがえる。
その他方で、「とくにない」は24.5%で全体最多だった。AI導入の具体像を描けていない層や、現状運用で大きな不満を抱えていない層も存在している。業種や組織規模、問い合わせ件数、既存フロー整備状況によって温度差があるとみられる。
Altam Easeは、問い合わせ対応改善において、まず現場で時間を消費している工程や判断負荷の高い作業を整理する必要があると指摘する。人が担うべき業務とシステムに委ねられる業務を切り分ける作業が、効率化の出発点になるとの見方を示した。
同社は、システム開発からAI導入支援まで一貫対応しており、問い合わせ業務の改善支援にも取り組んでいる。今回の調査は、問い合わせ対応現場で求められるAI活用像が、単純な自動応答よりも、情報整理や記録補助に重心を置いている現状を示す内容となった。
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