生成AIは使っているが、稼げていない 日本企業は「期待超えの効果」9%にとどまる
PwC Japanグループは、6カ国の企業を対象にした生成AI実態調査を公表した。日本企業は活用・推進度で各国に並ぶ一方、期待を大きく上回る効果の創出や、従業員・顧客への成果還元で遅れが目立ったとしている。
PwC Japanグループは「生成AIに関する実態調査2026 春 6カ国比較」を発表した。日本企業の生成AI活用・推進度は87%に達した。米国(90%)、英国(89%)、中国(91%)、ドイツ(89%)、韓国(93%)と比べても大きな差はなく、生成AIが大企業における標準的な経営テーマになりつつある状況が見えてきた。
ただし、導入の広がり=成果にはなっていない
一方で、導入の広がりがそのまま成果には結び付いていないようだ。活用・推進中の日本企業のうち、「期待を大きく上回る効果」を創出している企業は9%にとどまり、6カ国で最も低かった。活用・推進中の企業全体でも、「期待通り」または「期待を大きく上回る」とした割合は64%で、前回調査からの伸びは3ポイントにとどまった。PwC Japanグループは、論点が「使っているか」から「期待を超える効果を継続的に生み出せているか」へ移っていると分析している。
効果創出までのスピードでも差が出た。生成AI施策の実施から1年以内の効果発現を想定する割合は、米国が66%だったのに対し、日本は41%だった。日本は「3年以上を要する」または「時期が分からない」とする割合も相対的に高く、効果測定や改善の仕組みづくりを含めて、活用後の運用設計に課題を抱えている状況がうかがえる。
さらに、創出した効果を従業員や顧客にどう還元するかでも、日本企業の弱さが表れた。生成AI活用で生まれた効果を、従業員への利益還元や顧客への価格還元といった“財務的な還元”につなげている割合は日本が40%で、米国(75%)、英国(74%)を下回った。還元していない割合も日本が19%で最も高く、同社は、日本企業が「活用から効果創出」「効果創出から成果還元」の双方で壁に直面しているとみている。
なお、日本調査は2026年2月12〜19日に実施し、回答者数は932人だった。対象は、売上高500億円以上の国内企業・組織に所属し、課長職以上で生成AI導入に意思決定や企画検討など何らかの関与がある人物。6カ国比較では、日本のほか米国670人、英国412人、中国412人、ドイツ309人、韓国309人を対象にWeb調査を実施した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
なぜウチの会社の生成AI活用はどこまでも残念なのか
日本企業の生成AI活用事例を筆者は「残念だ」と見ていますが、どこに「残念ポイント」があるのでしょうか。また、「生成AIができない、人間にしかできないことをやろう」というよくある呼びかけは、AI時代を生きるわれわれを本当に正しい道に導くのでしょうか。
生成AIの検討フェーズはもう終わり 情シスが導入を成功させる「7つの勘所」
情シスは生成AIの導入、活用をいかに戦略的かつ安全に進めるかという難題に直面しています。情シスが生成AIを導入をするための「7つの勘所」を紹介します。
「PoCで見送り」はむしろ成功? ムダな生成AI活用プロジェクトの“正しい止め方”
「AIで何かできないか」というトップの号令に、現場が振り回される。生成AIブームの裏側では、目的が曖昧なまま進む“とりあえずAI”が課題になっている。情シスの視点からこの構造的な問題を読み解き、解決のヒントを探る。


