カプコン、分析基盤刷新でレポート作成時間を約80%削減 Tableau Cloud統合で
カプコンは、日立ソリューションズの支援のもと、分析基盤を刷新した。ゲームソフト販売の約90%をデジタル販売が占める同社の分析環境を向上させ、AI活用を見据えた整備で経営基盤を強化した。
カプコンはゲームソフト販売の約90%をデジタル販売が占め、227の国や地域で事業を展開している。事業拡大に伴うデータ量増加により、従来の分析環境では処理性能低下や障害復旧までの時間が課題となっていた。
その課題を解決するためカプコンは、日立ソリューションズの支援のもと、AIデータプラットフォーム「Snowflake」を活用したデータ分析基盤を構築し、Salesforceのクラウド型BIプラットフォーム「Tableau Cloud」へレポート基盤を統合した。
カプコン、新基盤でレポート作成時間を約80%減少
今回のデータ分析環境の刷新により、レポート作成時間は約80%減少し、障害発生時のデータ復旧時間は約75%短縮したという。
新たな分析基盤では、部門横断でデータ共有しやすい構成を採用した。処理性能と拡張性が向上し、大量データを安定的に分析できる環境となった。Snowflakeの標準コネクターを活用することで、SaaS型AI予測ツール用データの作成や加工、連携も容易となり、運用負荷を軽減した。
レポート基盤は、オンプレミス版とクラウド版が併存していた「Tableau」環境をTableau Cloudへ統合した。二重ライセンスによるコスト増加やデータのサイロ化、サーバ運用負荷を解消した。
分析基盤は、社内サーバ上のリレーショナルデータベースからSnowflakeへ移行した。データ復旧時間は最大約8時間から約2時間へ短縮したという。巨大なデータマートへ集約する構成も見直し、大規模データレイクを基盤とし、用途別データマートを複数配置する構成へ変更することで、性能向上と業務利用しやすい環境を実現した。
背景には、デジタル販売拡大に伴う分析対象データ急増があった。販売動向や利用者行動など多様なデータを蓄積し、次期コンテンツ内容や発売時期、価格設定、セール施策へ反映する取り組みを続ける中、既存環境では性能低下や保守負担増加が顕在化した。
分析要求が多様化した結果、既存基盤では柔軟な対応が難しく、改修のたび運用負荷が増加した。SaaS型AI予測ツールとのデータ連携にも多くの工数を要していた。BI環境でもオンプレミス版とクラウド版が併存し、ライセンス重複やサーバ運用、バージョン管理が負担となっていた。
カプコンはデータドリブン経営強化とAI活用を視野に分析基盤、BI基盤刷新を企画した。SnowflakeとTableau双方の知見や導入実績、運用実績を評価し、日立ソリューションズを支援企業として選定した。
今後はゲーム販売データに加え、アミューズメント施設やプロモーションイベントなどのデータも連携し、横断分析の高度化を図る。整備した基盤を活用し、販売予測や異常検知、RAG、自然言語で問い合わせ可能なAIエージェントの作成と検証にも取り組む予定だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
書類の電子保存「どこを探せばよいのか迷う」が80%超え 紙から変えても残る課題
データ保存の電子化は利便性を高める一方、複数ツールにまたがり目的の書類が見つけにくいという問題も生みやすい。業務文書の管理・参照を担う会社員を対象とした調査で、企業の抱える書類データ管理の課題が見えてきた。
図面探しに1時間……現場の非効率をなくすため、老舗企業が選んだ“ある共有ツール”
老舗メーカーのカワカミは、紙による図面管理が引き起こす「探し出す手間のロス」や「現場と事務所の往復」に悩まされていた。この課題に対し、製造ラインを止めない効率的なデータ共有基盤の構築に踏み切った。
「RPA負債」をこれで解消 言葉で指示するだけでPC作業を自動化する最新AI
RPAでは、保守負担や属人化、画面変更による停止といった課題が付きものだ。こうした「RPA負債」を解消する手段として、AIが状況を判断して操作するAIエージェント型RPAが登場し、業務自動化の対象をデスクトップへ広げ始めている。
生成AIの利用ルール「整備されていない」が最多 個人だけでなく企業間でもAI格差
生成AIを業務で活用する人が増えている一方、その活用度合いは個人によって差が出ている。企業の利用ルール整備も追い付いていないのが現状だ。活用においては課題も多いことが、あるアンケートで明らかとなった。