製造業の73%が「生成AIに仕事を頼みたいのに頼めない」理由とは
製造業においてはも生成AIの活用が進んでいる。しかし、ある調査で、実務者の73%が生成AIに頼みたい業務を任せられないと回答した結果が示された。生成AIに抱く期待と現実のギャップはどうして発生するのか。
製造業においても生成AIの活用が期待されているが、現場への普及には多くの課題があるという。大手製造業の実務担当者384人を対象としたストックマークの調査で、その実情が示された。
AIに「頼みたいのに頼めない」73% 経営陣と現場の壁も
生成AIを活用している業務用途では「文書・レポートの作成補助」が83%で首位となり、「市場調査・競合分析」が53%、「社内データの検索・集約」が45%と続いた。「製品設計・開発の支援」は28%、「現場作業の効率化・自動化」は22%にとどまり、利用がデスクワークへ偏る状況が示された。生成AI活用後の業務における効果については、業務処理スピード・生産性で「大きく改善」と「やや改善」の合計が64.1%、成果物の品質・クオリティーでは計59.9%となった。仕事以外の時間(余暇など)も約23%が改善を挙げた。
しかし、導入にはAI活用には課題もある。実務者の73%が、頼みたいのに任せられない業務があると答えている。
その理由は、「社内システムや他ツールと連携できない」が44%で首位だった。「セキュリティ上、重要な情報を入力できない」と「質問して期待通りの回答が得られない」は各38%、「自分の意図した回答がなかなか返ってこない」は35%、「図面・仕様書など非テキスト情報を扱えない」は34%だった。「社内の過去データや事例を参照した回答が得られないため」は31%、「回答の精度・信頼性に不安を感じるため」は30%となった。
会社が導入した生成AIと理想の利用法のギャップに関する設問では、「使えるツールや機能が制限されている」が68%を占めた。「セキュリティ制約で本当に必要な情報を扱えない」は41%、「自社業務・製品に特化した回答ができない」は30%、「活用方法のサポート・教育が不十分」は27%、「現場のニーズが導入に反映されていない」は23%だった。汎用(はんよう)ツールの導入だけでは製品設計や現場作業を含む製造業の業務を十分に支えにくい状況が数字に表れた。
会社(上司・経営層)の生成AI活用の推進姿勢においては、「導入はしてくれているが、活用方法のサポートが不十分だと感じる」が53%で首位だった。「経営・効率化の観点が優先で、現場の実態が反映されていない」は26%、「現場が自発的に使っており、会社の推進はほとんど関係ない」は23%だった。「現場のニーズや課題を把握した上で推進してくれている」は16%にとどまり、「そもそも会社としての推進姿勢をあまり感じない」は15%だった。「生成AIの活用推進に対して特に不満はない」との回答は8%だった。
生成AIが本領を発揮するために自社で必要な項目では「自社独自のデータ・ナレッジの整備」が56%、「AI活用を前提とした業務の再設計」が53%となった。「暗黙知のAI活用可能な形への構造化」は33%、「現場の活用リテラシー向上」は29%、「利用ガイドライン・セキュリティ環境の整備」は22%だった。「社内の成功事例やユースケースの共有・横展開」は19%、「導入・検証のための予算(投資枠)の確保」は15%、「専門人材・パートナーの確保」は11%、「AI活用を評価する人事制度・インセンティブの整備」および「経営層のコミットメント」は各10%だった。
調査結果では、文書作成や調査、検索で生成AI利用が広がる半面、社内システム連携や機密情報、非テキスト情報、自社固有データの活用が障壁として残る現状を示した。
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