岐阜大学
薬剤の組み合わせによって起こる副作用リスクを瞬時に解析、表示
データマイニングなどデータ解析技術の進歩は、いま臨床医学に新たな領域を切り開こうとしている。岐阜大学大学院の研究グループを通じて、次世代医療の最前線を追う。
医療の世界では、体質など患者の特徴に合わせて最適な医療を提供するオーダーメイド医療が注目されている。岐阜大学大学院の紀ノ定教授が挑戦するのは、オーダーメイド医療など次世代医療を情報科学によって実現すること。世界の医療現場から日々発信される情報の活用が不可欠と考えた同教授は、データマイニング解析ソフトの導入に踏み切った。
課題
例えば、ヒトのDNA塩基配列のうち1カ所が異なる一塩基配列は、個人の体質と深く関わっている。一塩基配列の有無を調べることで医薬品の副作用を予防する方法なども生まれている。しかし、患者の体質は遺伝子だけで決まるわけではない。年齢、性別、生活習慣、既往歴、服薬歴などを考慮した特徴の選別がオーダーメイド医療のベースとなるが、患者の属性の組み合わせは無限大に近い。従来の臨床研究のアプローチでは、限界がある。
解決方法
同大学院の紀ノ定教授が注目したのは、世界の医療現場から日々発信される情報の活用だ。その最新情報を素早く解析するために、データマイニングソフト「Visual Mining Studio」を用いた。データマイニングとは、さまざまな解析技法を大量のデータに用いて必要な情報を取り出す技術だが、これを利用することにより、従来の情報解析では埋もれてしまいがちになる副作用事例などの情報を発掘できると考えたのだ。
効果
データマイニングの手法を使うことにより、膨大な情報の中から、副作用を起こす条件を見つけ出す分析が可能になった。同教授の研究グループによる研究成果の一例を挙げると、高脂血症の治療に用いられるスタチミン系薬剤とフィブラート系薬剤の相互作用が解明された。またデータマイニングは、患者の年齢、臨床所見などの分析にも用いられ、抗うつ薬は使用する際に年齢を配慮すべき薬剤であることが同研究グループから示された。
事例概要
企業規模 | 企業規模問わず |
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課題 | 業務自動化 |
業種 | 医療業・福祉業 |
部署 | 開発部門・研究部門・設計部門 |
地域 | 国内 |
導入年 | - |
提供企業・製品
導入製品名:汎用データマイニングツール 「Visual Mining Studio」
提供企業:株式会社NTTデータ数理システム
掲載日:2021/02/03
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