デジタルコアは次世代のワークロードをサポートする。デジタルコアに期待される効果やメリット、ベンダーによる取り組みを確認しよう。
デジタルコアとは、企業がデジタル経済の新たなニーズに対応するためのテクノロジープラットフォームとアプリケーションを指す。この分野で著名なベンダーの一つがSAPだ。SAPは顧客のデジタルコアへの取り組みをより適切にサポートするために、ポートフォリオを改良してきた。
本稿では、デジタルコアの基本やメリット、ベンダーの取り組みを解説する。
強固なデジタルコアは、高度なアナリティクスやIoT、ML(機械学習)を含むAIなどの次世代ワークロードをサポートする。これらのワークロードは、レガシーなITインフラでの実行や、従来のソフトウェア技術への依存には適していない。データフローを合理化し、クラウドサービスやその他のテクノロジーとシームレスに統合できる柔軟で拡張性に優れたプラットフォームが必要となる。
デジタルコアは、企業がDXに取り組むための重要な要素で、既存のビジネスプロセスを改善し、新しいビジネスモデルをサポートする。例えば、強固なデジタルコアに基づいて構築された顧客体験管理アプリケーションは、顧客の行動に対する迅速かつ優れた洞察を提供し、イベント駆動型の意思決定を可能にする。
企業のITインフラをデジタルコアを中心に変革することは、広範な計画と明確な戦略を必要とする複雑な取り組みになるだろう。デジタルコアプロジェクトでは、ビジネス慣行とプロセスの再構築、デジタルコアプラットフォームの導入、チェンジマネジメントの実践による企業文化の変革が必要となる。ほとんどのプロジェクトでは、高度なスキルの開発とともに、プラットフォームやテクノロジーベンダー、導入パートナーによる広範な関与が必要となる。
ビジネスプロセスを変革し、最新のワークロードのニーズをサポートするには、強固なデジタルコアが不可欠だ。また、進化するビジネスニーズに対応し、新たな課題に直面した際に必要なアジリティを実現するためにも重要だ。デジタルコアは企業に以下のようなメリットをもたらす。
デジタルコアは、重要なビジネスプロセスをリアルタイムで可視化し、それらをサポートするデータシステムやデータストリームと連携できる。強固なデジタルコアを導入することで、企業はビジネスプロセスへの理解を深め、システムやデータをより容易に管理できるようになる。
デジタルコアは、関係者に高い水準のデータの透明性を提供するために、単一の信頼できる情報源を確保する。関係者は、いつどこからでもシームレスにデータにアクセスし、さまざまなシステムと連携し、可能な限り最良の情報を基に作業していることを認識した上で、より効果的なコラボレーションを実践できる。
デジタルコアは、利害関係者にデータに関するリアルタイムの洞察を提供する。これによってイベントをより正確に予測し、シミュレーションできる。関係者はデータを基に、より高い精度で結果を予測する高度な分析を実行し、深い洞察と効果的な意思決定につなげられる。
デジタルコアは、DXの実行とビジネスプロセスの近代化において極めて重要な役割を果たす。複数のクラウドやハイブリッドクラウド、オンプレミスのデータセンターなど、さまざまな種類の環境にまたがる分散型の相互接続インフラをサポートする。デジタルコアは、迅速な導入と適応可能なアーキテクチャを促進すると同時に、企業の将来のデジタルインフラをサポートする。
新たなビジネスチャンスやビジネス状況の変化、最近のイノベーション、COVID-19パンデミックのような予期せぬ課題に企業が直面したとき、デジタルコアは企業の柔軟性と適応力を高める。また、強固なデジタルコアは、サービスや製品の多様性を高めることにもつながる。
デジタルコアの主な利点の一つは、企業のバックオフィスのERP(企業資源計画)システムを、さまざまなソースから取得した大量の構造化データや非構造化データと統合できることだ。企業は、データを高度に分析し、結果の予測やアクションの提案などを含む新たな洞察を得られる。これらのプロセスやアクションの多くは、ほぼリアルタイムで自動的に実行される。
数多くのベンダーが、より強固なデジタルコアの導入に向けた企業の取り組みを支援する製品やサービスを提供している。
この分野で特に著名なベンダーの一つがSAPだ。SAPは顧客のデジタルコアへの取り組みをより適切にサポートするために、ポートフォリオを改良してきた。SAPの基盤となるデジタルコアプラットフォームには、「SAP HANA」のデータベースを基盤とした次世代型のERPシステムである「SAP S/4HANA」と「S/4HANA Cloud」がある。SAPのデジタルコアと他のシステムやアプリケーションとの統合の多くは、SAP Cloud Platformを通じて実施される。
他の業界の企業もデジタルコアに関する取り組みを推進している。例えば、世界的な総合コンサルティング企業のAccentureは、業務の最適化やサービスの強化、成長の促進を図る戦略の一環として、企業、政府、その他の企業のデジタルコアに関する変革と構築を支援している。同社によると、企業のデジタルコアは競争優位性の主要な源泉であり、それ相応の扱いを受けるべきだという。
また、データセンターサービスを提供するEquinixも、デジタルコアを重視している。同社は、デジタルコアの導入を強力にサポートするデジタルインフラの提供に注力している。同社は、6つの大陸に広がる240以上のデータセンターを含むグローバルな環境でコンピュートリソースをコロケーションする方法を企業に提供し、効果的なDXと近代化をサポートする相互接続されたデジタルコアの形成を可能にしている。
またOracleは、さまざまなSaaSやPaaS、IaaSおよびアプリケーションを通じて、デジタルコアサービスを提供している。例えば、「Oracle Customer Experience」のスイートは、企業が物理チャネルとデジタルチャネルを通じて顧客と関わることを可能にする顧客体験プラットフォームだ。
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