発生する電車遅延、乗客からの問い合わせ殺到……東急電鉄の遅延トラブル対処にBoxが採用された理由(3/4 ページ)
電車の遅延トラブルに頭を抱えた経験のある人は多いだろう。しかしその裏で同じように駅係員も頭を抱えていた! そんな東急電鉄がトラブル時の対処法を刷新、そこに採用されたのは、何と「Box」だった……。
狙い通り、トラブル時の情報共有がスムーズにできた
Boxの導入により、トラブル時の情報共有はとてもスムーズになった。その情報共有のフローについて、同社佐藤智仁氏は次のように話す。
「先に述べたように、現場に出向いた技術員が故障箇所の写真・映像を電気部に送る際、以前は最寄りの事務所などに移動してPCに取り込む必要がありました。ところが、iOS端末からBox Captureを使えば、現場に居ながらにして、すぐに写真や動画を共有できます。これにより、各部署での情報収集の手間が省け、トラブル時の対応時間はかなり短縮できました。また、現場での対応内容や本社から現場への指示などは、『Box Notes』を使って行うように改めました。
その手順としては、あらかじめ決められたフォーマットに、各担当者が記入していく形をとり、その流れを他部門のスタッフでも確認できるようにしたのです(下写真参照)。その結果、他部門などから電気部に寄せられる問い合わせの数は、劇的に少なくなりました」(佐藤氏)
「また、Boxの導入に合わせトラブル時の人員配置にも一工夫を加えました。以前は現場で手の空いた技術員が、その都度、本社との連絡役を担っていました。しかし今は、現場で復旧に当たる技術員とは別に、情報伝達専門のスタッフを置くようにしたのです。こうして情報共有のスピードを高めることで、結果的にトラブル解決までの時間を短くできました」(矢澤氏)
2015年11月に導入したのは300台のiPhoneとiPad。翌2016年4月にはさらに約1300台を追加。2017年8月現在、合計で約1600台が稼働中だ。
「当初はトライアルと位置付け、電気部と現場の技術員、そして主要駅などに数を絞って300台を配布しました。iOS端末とBox利用料を合わせても1台当たり月額数千円程度。数カ月使ってみた結果、費用を大きく上回るメリットが得られると判断したのです。現在は、全技術スタッフに端末を配布。車掌や駅係員向けの端末は職場に常備して共有品とし、勤務時に常時携帯する仕組みにしました」(矢澤氏)
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