月間375時間を削減した人材コンサル企業の「泥臭いRPA導入」:イベントレポートアーカイブ(1/2 ページ)
企業の人材採用を支援するある人材コンサル企業は、採用事業のバックオフィス業務を効率化するためにRPAの導入を決意した。だが、現場からの要望はとてもRPAだけで解決できるものではない。これをどう乗り切ったか?
採用や人事、労務領域のコンサルティングから業務アウトソーシング事業を展開するレジェンダ・コーポレーションは、新卒採用支援業務の効率化を図り、RPAを導入したことで月間375時間の削減に成功した。RPA導入に当たり、責任者を務めた林 香織氏は「現場主導の泥臭いHRテック」を目指したと語る。月間375時間を削減するためにRPAをどう活用したのだろうか。
本稿は2018年7月25日に開催されたセミナー「アシストフォーラム2018 in 東京」(主催:アシスト)における講演「RPAにヒトの判断軸をON! 採用業務の自動化で効率UP」の講演内容を基に構成した。
採用支援業務はバックオフィス業務が複雑化する
レジェンダ・コーポレーションの採用支援事業は、求人媒体の管理や応募管理など、年間約100社の新卒/中途/アルバイト採用業務を支援する。採用業務は外から見ると面接や説明会、セミナーといったフロント系業務ばかりが目立つが、その背後には複雑なバックオフィス系業務が山ほどある。
林氏は「応募数が少なければ求人媒体への掲載を増やす必要があり、面接へ進む人数が少なければ合格基準を見直すといった調整が頻繁に発生する。それが顧客ごとに調整するとなると、より作業は複雑化する」という。採用支援業務には、採用管理システムなど数多くのシステムを運用するため、企業の採用業務プロセスを実行するには複数システムのデータを参照する必要がある。また、応募履歴や応募者対応履歴などのデータを分析し、プロセス改善に生かすことも求められる(図1)。
「応募者へのメール送信内容は採用フェーズや職種ごとに異なるため、メールの対応履歴が1社につき100万件にのぼるケースがある。採用活動のプロセス変更が発生したときに、履歴を後からトレースする必要もあるため、どうしてもオペレーションは複雑化してしまう」(林氏)。
現在は、約1〜4社の顧客を2〜5人でサポートしているが、担当する顧客の採用活動が同時期に重なると、業務が集中し、スタッフへの負荷が高まることが大きな課題だった。この課題を解決するためには、属人化した業務オペレーションを変え、誰が担当しても一定の品質で結果が出せる仕組みにすることが必要だ。
そこで、RPAを導入し業務改善を行うことを決断した。レジェンダ・コーポレーションが目指すゴールは、業務オペレーションを改善することで社員の労働時間を削減し、顧客への提案活動に注力できる環境作りである。
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