ERPの導入状況(2018年)/後編:IT担当者300人に聞きました(1/2 ページ)
ERPの導入状況を定点観測。今回のアンケートでは、企業情報システムが直面する深刻な問題がいよいよ表面化しつつある兆候が見えてきた。皆が恐れていた事態が現実になりつつあるようだ。
キーマンズネットは2018年11月28日〜12月13日にわたり、「ERPの導入および運用の課題」に関する調査を実施した。全回答者数191人のうち、情報システム部門が44.0%、製造・生産部門が13.6%、経営者・経営企画部門が8.4%、営業・販売部門が7.3%などと続く内訳であった。
今回はERPの「満足度」や「不満に感じる点」「満足と思う点」「基幹業務システムの利用や運用に関して課題や問題点」について調査。現在導入しているERPや基幹業務システムの運用に関しての不満や課題を分析することで、企業が置かれている現状や課題が見て取れる結果となった。なお、グラフ内で使用している合計値と合計欄の値が丸め誤差により一致しない場合があるので、事前にご了承いただきたい。
満足度が18.2ポイント減少、特に「とても不満がある」が増加傾向
前編ではERPの導入率が「個別ツール利用」も含めて60.2%と2017年に行った同調査から9.6ポイント増加していること、リプレース需要を中心に18.4%が導入検討中であることなどに触れ、ERPや基幹系個別ツールへのニーズが高まっている傾向を紹介した。そこで後編ではその背景や理由について深堀していきたい。
はじめにERPの導入済み企業に対して「満足度」を尋ねた(図1)。その結果「とても満足している」が3.1%、「まあ満足している」が50.3%、「やや不満がある」が31.4%、「とても不満がある」が15.2%となり、まとめると全体で「満足」が53.4%、「不満」が46.6%という結果となった。この結果を2017年10月に行った同調査と比較すると「満足」と回答した割合が18.2ポイント減少し、代わりに「不満」と回答する割合が高まっていた。特にその内訳を見ると「やや不満がある」が5.1ポイント増加したのに対し「とても不満がある」が3.9%から15.2%へ11.3ポイントも増加していることが分かった。これらの層がリプレース需要となって昨今のERPおよび基幹系ツールの導入率を押し上げているものと予測できよう。
3大「既存ERPへの不満」(1)古い(2)結局カスタマイズ、あと1つは?
それではどのような点で不満と感じているのだろうか。「不満」と回答した方のコメントから得た傾向を3つに大別したので紹介しよう。
1つ目は「かなり古いシステムなので使い勝手が悪い」「操作性が悪く、業務にフィットしていない部分がある」などの使い勝手に起因する不満だ。こうした運用管理の負荷に関連して「運用コストが高い」「ライセンス料金が高い」といったERPへの投資対効果に疑問を呈する声も少なくなかった。
2つ目は「導入時に業務改革が実施されなかったため本来の機能を生かせていない」「業務要件を詰めると結局カスタマイズになる」といった、導入時に業務の標準化を行わなかった利用者の声だ。結果として「システムの要件が現業務に不適合な部分が散見される」「昨今のシステムの基本概念に対してバージョンアップもしくはモディファイが必要」というように後ほどカスタマイズやバージョンアップへの対応が必要になってきているようだ。
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