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錯覚を駆使してもいいから生産性を高めたい、レノボ「大和研究所」の成果とは?(3/3 ページ)

想定を超える人気のため出荷時期を変更したことで話題の2in1 PC。目新しい入力技術に注目が集まるが、実はその裏側で利用者の生産性向上を追求し、認知科学の成果を貪欲に取り込む技術者、研究者の本気が垣間見られるすごい成果が搭載されていた。

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ユーザビリティか、余計なリソースか、それが問題だ

 戸田氏はHaloキーボード開発の中で地味ながら苦心したところとして「アクティブ・インジケーター」機能を挙げた。一般的なノートPCのハードウェアキーボードに存在する、例えば[Caps Lock]キーが有効になっているときには小さなLEDが点灯してユーザーに認知させるといった機能だ。Haloキーボードでは仮想キートップ上にオンオフを明示するインジケーターが設けられている。戸田氏は「本来、快適なキー反応を維持するために、余計なリソースは割きたくなかった。しかし使い勝手向上のため、アクティブ・インジケーターにどこまでリソースを確保して最適化するかが大変だった」と開発中の苦労を振り返っていた。


ムキダシの配線やボール紙の補強が生々しいプロトタイプのHaloキーボード。しかしこのプロトタイプを実際に見たレノボの偉い人たちはすぐに開発にゴーを出したとか

 戸田氏は「Haloキーボードはレノボの各部署に赴いて各所で意見を仰いだことで完成した」と振り返る。筆者は先に「HaloキーボードはLenovo Researchの研究者が中心となって開発された」と記した。本質はその通りかもしれないが、実際にはレノボ全社の取り組みによる成果物がこのHaloキーボードであり、Yoga Book C930なのである。

 今回のイベントでは本来公開されることのないHaloキーボードの試作機がサプライズ展示されたり、記事にはできないオフレコのまさに「秘話」も聞くことができ充実した内容であった。今後もLenovo Researchと大和研究所が同社の新技術、ひいては新製品の開発を担う中心組織として活躍することが期待できそうだ。

 「生産性向上のための心地よさの演出」を目標に、レノボの研究者たちが錯覚を駆使して本気で取り組んだキーボード開発秘話なのだが、この研究は、決してただのキーボードの体験を変えるためだけのものではなく、これからの人間と機械の関係そのものをどう構築するか、といった、より広いテーマをも内包するもののように感じられた。

「Yoga」「ideapad」ブランドを刷新、5つのカテゴリによる分類も

 イベント当日は、同社コンシューマー製品事業部 部長の櫛田弘之氏も登壇。Yoga Book C930の発表と同時に刷新された同社のコンシューマー向けノートPCラインアップの新分類ルールについて解説した。

 「従来は2in1製品に"Yoga"の製品名を冠してきたが、今後は製品形状に関わらず、フラッグシップ製品とプレミアム製品に"Yoga"を、メインストリーム製品とエントリー製品に"ideapad"の製品名が冠される」と櫛田氏は話した。Yogaとideapadの線引きは製品番号にあり、製品番号600番台より上の製品がYoga、それ未満の製品がideapadになるという。

 さらに「ノートPCはその製品タイプによって5つのカテゴリーに分類され、製品番号の先頭にアルファベットがつけられるルールとなった」と櫛田氏は解説した。それによると一般的なクラムシェル型のモデルが「Traditional」で頭文字は「L」、極薄型モデルが「Ultraslim」で頭文字「S」、Yoga Book C930のようにヒンジ部がフレキシブルに動くモデルが「Convertible」で頭文字「C」、キーボード部の取り外しが可能なモデルが「Detachable」で頭文字「D」、ゲーミングノートPCが「Gaming」で頭文字「Y」となる。

 この新た製品ルールは2018年9月からスタートしており、この先1年ほどかけて再編成が完了する予定だという。なお、これに伴い「Miix」製品は消滅することになる。


レノボ・ジャパン コンシューマー製品事業部 部長の櫛田 弘之氏

コンシューマーノートPCはグレードによって「Yoga」「ideapad」の2種に大別されることに

コンシューマーノートPCは製品の形状によって5種類に分類される。形状とグレードによって製品名が決まるという新ルールが適用されることとなった
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