ガートナー調査:BI導入企業の割合と普及率の隔たりに見る、日本企業の現実
「世の中ではBIが普及しているようだが、私たちはさほど使っていない」。肌感覚で分かっていたことが調査でも明らかに。セルフサービス化して従業員皆でBIを使う、という世界はまだ遠いようだ。
ガートナー ジャパン(以下ガートナー)は「国内企業におけるビジネス・インテリジェンス(BI)ツールの導入状況とその利用実態」に関する調査結果を発表した。調査は日本国内(主に首都圏、大阪圏、名古屋圏)で働くビジネスワーカーを対象としたオンラインアンケートによる(調査期間:2019年3月5〜19日、有効回答者数:441件)。回答者の所属企業の従業員数規模による内訳は、2000人以上が56.46%、1000〜1999人が14.51%、300〜999人が16.78%、300人未満が11.79%など。
所属企業でのBIツールの利用状況では「利用している」が74%と大半を占めたにもかかわらず、回答者自身の利用状況を尋ねる項目では「利用していない」が41%と「能動的に利用している」(35%)を上回る結果となった(受動的に利用しているは24%)。
能動的か受動的かによらず、BIを利用するとした回答者を対象に利用頻度を尋ねた項目では、「週1回以上とした回答者が全体の49%」だった。
BIツールへの不満は「ツールの使い方が難しい、使いこなせない」が37%、次に「パフォーマンスが低い、処理に時間がかかる」(27%)、「導入の有用性あるいは費用対効果を検証するのが困難」(22%)と続いた。「提供される機能が足りない」「提供されるグラフなどビジュアルの種類が足りない」と回答したユーザーもそれぞれ20%程度いた。
今回の調査結果について、マネージング バイス プレジデントの堀内秀明氏は「企業単位で見れば、BIツールはかなり浸透したと言えますが、企業内の個人に着目すると、BIツールの浸透はいまだ道半ば」と評価する。また、既存BI環境の改善を検討している場合は「現在利用しているツールのタイプ、主なユーザーと不満の有無、ユーザーの積極性、ユーザーのデータ・リテラシー、BIサポートの状況などを個別に確認し、自社環境に最適な一手を見極める必要がある」とも指摘している。
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