1000社の働き方改革事情――RPAの導入率は? 次に注目する技術は?
IDC Japanが約1000社を対象に働き方改革の動向を調査。企業における取り組みの実施状況や、改革をけん引する業種、働き方改革を背景に導入、注目されているテクノロジーが明らかになった。RPAの導入率は? 企業が注目している技術は?
政府が2016年から重要施策として位置付ける「働き方改革」。2019年4月からはいわゆる「働き方改革関連法」が施行されたが、どれほどの企業が取り組めているだろうか。その際、ICTツールはどの程度活用しているだろうか。最新の調査では企業の本気度がうかがえる結果が出た。
IDC Japanは、「国内働き方改革動向調査」として100人以上の従業員数を擁する1000社を対象に、経営層、IT部門の従業員、工場や販売といった現場以外の部門に勤務する従業員に対してWebアンケートを実施した。働き方改革の実施状況や改革をけん引する業種、働き方改革を推進するために活用、あるいは注目しているテクノロジーが明らかになった。
働き方改革の実施企業は7割超、金融よりも製造業で実施率が高く
調査結果によれば働き方改革の実施率は75.3%に上り、2018年の調査時よりも16.3ポイント上昇した。特に、中堅企業は2018年から20.2ポイント伸長した。65.2%の企業が働き方改革を実施し大きな伸びを見せた。
産業別に働き方改革の実施率を比較すると、2018年のトップである金融業を抑えて製造業(84.2%)が1位に躍り出た。2位以降は中央官庁/地方自治体(79.3%)、(サービス(75.5%)、金融(74.2%)と続き、産業を問わず改革が進んでいるとIDC Japanは見ている。
働き方改革の目的では「残業時間の短縮」「労働生産性の向上」「ワークライフバランスの向上」が上位に挙がった。政府による「働き方改革関連法」で残業時間や有給休暇の取得に対する規制を厳格化したことを受け、特に大企業でこれらのルールに対する取り組みが進んでいるとIDC Japanは考える。
ICT導入率は6割超、金融を中心に浸透するRPA
働き方改革を推進するために活用するICTツールについては、30以上のアプリケーションやソフトウェア、デバイスの導入状況を調査した結果、「スケジュール管理」「Web/ビデオ会議」「社内ポータル」「勤怠管理」はいずれも導入率が60%を超えたという。
また産業別の導入状況を見ると、働き方改革の実施率がトップである製造業のデジタル化が目立ち、続いて金融業やサービス業でICTツールの導入が進んでいるという。
なお、近年関心を集めるRPA(Robotic Process Automation)の導入率は、全体で26.0%に達し、最も導入率の高い金融業界では41.7%の企業が利用していると回答した。
それでは働き方改革の推進に際し、「注目する」テクノロジーは何だろうか。
「AI(人工知能)/コグニティブ」がトップに上がった。大企業では49.7%の企業が関心を寄せているという。
IDC Japanの市川和子氏(PC 携帯端末&クライアントソリューション グループマネージャー)は、国内企業におけるデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)に対する熱が高まる中、IDCではDXの成功と継続には「Future of Work」という考え方が必要だと提言した。
「Future of Workは、企業文化や働く場の変革、人材の獲得、維持、教育の他、従業員のエンゲージメントや社内外のコラボレーション、働き方の効率化などを包含したフレームワーク。国内企業は早々に働き方改革からFuture of Workという考え方に移行すべきだ」(市川氏)
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