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人事・人材管理システムの利用状況(2020年)/前編

アンケート結果では、人事・人材管理システムの導入率は7割を超えた。その一方で、リモートワークなど多様な勤務体系の管理への課題も明らかになり始めたようだ。

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 キーマンズネット編集部は、2020年2月25日〜3月6日にわたり「人事・人材管理の取り組み」に関する調査として人事・労務管理システムの「導入状況」や「導入形態」「満足度」などについてアンケート調査を実施した。全回答者数107人のうち7割が人事や人材管理にITを活用しており、システムへの満足度は44.9%と増加傾向にあることなどが明らかになった。

人事・人材管理システム導入率は71.9%と増加傾向

 はじめに、自社での人事・人材管理に何らかのシステムやサービスを導入しているかを尋ねたところ「既に導入しているが、今後リプレースの予定はない」が55.1%、「既に導入しており、今後リプレースを予定している」が16.8%となり導入済み企業が71.9%であることが分かった。一方、「必要性を感じるが導入は検討していない」は11.2%、「必要性を感じない」は7.5%、「今は導入していないが、これから新規で導入を検討している」が2.8%と続いた。(図1-1)。


図1-1 人事・人材管理システムの導入状況

 この結果を2019年5月に実施した同様の調査と比較したところ、導入率が12.8ポイント増加する代わりに「今は導入していないが、これから新規で導入を検討している」割合が6.7ポイント、「必要性を感じない」割合が6.8ポイントとそれぞれ減少していた。システム化のニーズは高まってきており、新規導入を検討していた層を中心に導入が進んだ可能性などが考えられそうだ。

 次に、導入済みの回答者を対象に利用システムの形態について聞いてみたところ「自社開発」が35.1%、「ERPパッケージの機能」が28.6%、「人事管理専用のSaaS」が13.0%、「クラウドERPの機能(SaaS)」11.7%、「アウトソーシング」が3.9%と続いた(図1-2)。パッケージやSaaSなどの形態を合計すると全体で40.3%がERPの機能を活用していることとなり、自社開発の割合(35.1%)を超える。「その他」の項目では「自社開発とERPパッケージの併用」といった声も挙げられた。


図1-2 人事・人材管理システムの利用形態

 活用が進むにつれて、人事・人材管理システムへの課題も明らかになっている。そこで、システムへの課題観と期待することを聞いた。操作性やセキュリティ面の課題の他、データ利活用の促進やリモートワークといった新たなビジネストレンドが社会に浸透していく中で、人事・人材管理にも新たな視点が求められているようだ。導入しているシステムへの満足度とあわせて具体的に見ていきたい。

人事・人材管理システムの課題と期待することとは

 自社での人事・人材管理における課題をフリーコメントで聞いた結果、回答を大きく3つに分類できた。1つ目は「出退勤管理が自己申告の手入力」「ユーザーインタフェースが悪い」など、UIや機能面で使い勝手の悪さに起因する課題の指摘だ。

 2つ目は「事件事故などが起きたときの重大インシデントへの対応がない」とセキュリティ対応を懸念する指摘だ。そして3つ目は「要員および人材不足」「記録・管理はできても、その結果の業務活用をどうするのか明らかでない」といった、そもそもの人員不足や管理データの有効活用の方針が決まっていないなど運用設計における課題であった。

 次にこれらの自社課題に対し、今後人事・人材管理システム側に期待する機能について調査したところ「操作性・安定性」72.0%、「セキュリティ」52.3%、「システム間連携やカスタマイズの柔軟さ」32.7%などが上位に挙がる結果となった(図2)。

 操作性やセキュリティ、システム連携面など先述の課題に対応する機能を希望していることが確認できる。さらに、2020年2月より感染拡大を続けている新型コロナウイルスによる影響もあり、「新しい働き方への対応が必要になる」「在宅勤務だとPCを起動しなかったり中断する業務があり、実際の勤務時間と合わない」「モバイルデバイスで使用できる機能が限定されているのが不満」と、在宅勤務やリモートワークなど柔軟な働き方に対応した機能の要望が多数挙げられた。より多様な勤務体系を正しく管理・評価できる仕組みと体制の整備が求められている。


図2 人事・人材管理システムに期待する機能

システムへの満足度は44.9%

 人事・人材管理システムを導入している回答者に満足度を聞いたところ、「満足」とした割合は44.2%、「不満」は26.0%、「どちらでもない」が29.9%となった(図3)。システム自体の導入率も増加する中で利用頻度が上がり、システムに対しての評価が二分化してきているようだ。


図3 システムの満足度

 どのような点が評価され、どのような点が評価されていないのだろうか。満足度への回答理由をフリーコメントで聞いたところ「満足」と回答した人からは「自社仕様にカスタマイズしているため」「インターネット経由で、時間や場所に縛られずに使えるところが良い」「申請承認のワークフローが確立した」といった声が多数挙げられ、申請や承認業務での“効率性の向上”が評価されている傾向にあった。

 一方で「不満」とした回答者からは「操作性が悪く、二重入力も多い」「働き方改革で分散オフィスを開始し、入退場システムとの連携ができなくなった」「バグが多く、動きが重い」など、他システムや変化する働き方との柔軟な連携や操作性、レスポンス面での不満にも声が集まる結果となった。

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