「コロナ禍」で国内IT市場は4.5%縮小、最悪のシナリオはさらに下振れも、IDC Japan予測
IDC Japanは2020年4月3日、「新型コロナウイルス感染症の影響を考慮した国内ICT市場予測」を発表した。悲観的シナリオもあるが、各自の施策で状況を改善できる可能性もあるという。
IDC Japanは2020年4月3日、「新型コロナウイルス感染症の影響を考慮した国内ICT市場予測」を発表した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の最新状況を考慮した国内ICT市場予測だ。それによると、国内ICT市場(支出額ベース)は前年比4.5%減の28兆2,155億円と予測されている。ただし、この予測の前提条件が今後も有効かは不透明だ。
デバイス市場が大きく落ち込むもソフトウェアはプラス、ただし全体では4.5%縮小
IDC Japanは、国内ICT市場全体では前年比4.5%減の28兆2,155億円になると予測する。
市場概況は製造業でのサプライチェーンへのインパクト、飲食/宿泊/運輸などのサービス業の低迷とそれに関連する各産業の業績悪化、国際スポーツイベントの延期など、市場縮小に向けた要素が多い。
国内市場の製品セグメントごとの前年比成長率は、スマートフォン/PC/タブレットなどの「デバイス」がマイナス22.0%、ITサービスがマイナス1.8%、サーバ/ストレージ/IaaS/ネットワークなどの「ITインフラ」がマイナス1.2%、「テレコムサービス」がマイナス0.5%と予測、「ソフトウェア」は4.0%のプラスだった。
デバイス市場の落ち込みが大きくなった要因は、感染症による市場の冷え込みに加え、「Windows 7」の延長サポート終了、消費税増税などの2019年の「駆け込み特需」の反動も影響した。
市場予測の前提条件は? 今後の楽観的シナリオ、悲観的シナリオでの市場予測は?
IDC Japanは今回発表した予測は次の通り、やや楽観的な条件ともとれる前提条件を基にしている。今回発表した予測は、あくまでも下記3つの条件がすべて整う必要がある点は留意しておきたい。
- 世界と国内において2020年6月末前後で感染が抑制されること
- 一部の先進企業を中心にデジタルトランスフォーメーション(DX)投資が活性化すること
- 景気対策の一環として政府によるICT投資が選択的に実施されること
なおIDC Japanは今後のシナリオとして「楽観的」「悲観的」2つのケースを予測している。
上記3つの条件が実現し、さらなる企業、政府、消費者レベルまで広くDX投資が活性化される場合は1.2ポイント程度状況を改善でき、全体では前年比成長率マイナス3.3%に収まるとみている。
他方、前提条件の(1)が実現せず、ワクチン完成が予測される2021年半ばまで感染を抑制できなかった場合、前年比成長率はマイナス6.3%まで落ち込むとしており、今後の状況次第ではさらに下振れする可能性があるとしている。
今回の予測の詳細は、COVID-19の最新状況を踏まえて2020年3月末時点における最新のマクロ経済予測を基に、2019年までの実績および2020〜2023年の市場を予測するIDCのレポート「Worldwide Black Book Live Edition 2020 March - Version 1 Release」に掲載される。また、国内市場の詳細な製品セグメント別、産業分野別および企業規模別の市場予測については、今後順次レポートで発表するとしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- LINEに続き、政府が通信事業者らに協力要請、データを活用した新型コロナウイルス感染クラスター対策が本格化
政府が感染症拡大阻止に向け、プラットフォーム事業者や通信事業者にデータ提供を呼び掛けている。「Code for Japan」らと協力した自治体向けのデータ整備も本格化しつつある。 - テレワーク環境の整備状況(2020年)/前編
有事の事業継続のために、あるいは公共衛生のために、従業員がオフィスに出勤せずに業務を遂行する際に有効とされる「テレワーク」。日本国内での感染症り患者の拡大を受けて多くの企業が対応に追われているところだが、実際にどの程度の環境が整備できているのだろうか。アンケートで生の声を集めた。 - テレワーク社員を直撃も? Windows 10のVPNにトラブルの可能性、対処法を解説
ある特定の条件下で、Windows 10のVPNがうまく接続できなくなるケースが発見された。TeamsやO365などが影響を受ける。Windows 10の春の大型アップデートも延期の見通しだ。