「サーバ」シェア(2021年第1四半期)
全体的にマイナス成長となった2021年第1四半期のサーバ市場。x86サーバ、その他のサーバ、メインフレームのうち、売上額を伸ばしプラス成長を遂げた分野があった。
IDC Japanが発表した「2021年第1四半期(1月〜3月)の国内サーバ市場動向」によれば、2021年第1四半期の国内サーバ市場全体の売上額は1157億円で、前年同期から17.4%減少した。出荷台数は11万8千台で、前年同期から横ばいだった。
前四半期から変動、市場シェアを高めたベンダー3社
2021年第1四半期の国内サーバ市場は、売上額が前年同期比で2桁のマイナス成長となった。
ベンダー別市場占有率(売上額ベース)を見ると、1位のベンダーが23.2%、2位は19.7%、3位は14.3%、4位は13.8%、5位は5.4%だった。1位と3位、5位のベンダーは、前四半期から、各社順位を上げる結果となった。出荷台数では4位のベンダーが首位だった。
市場を製品別で見ると、x86サーバが前年同期比でマイナス成長、その他のサーバ(注)が同2桁の大幅なマイナス成長となった。一方、メインフレームはプラス成長となったが、市場のマイナス幅を補うには至らなかった。
注:「その他のサーバ」とは、「ARMサーバ」「RISCサーバ」「IA64サーバ」「ビジネスサーバ」の総称を指す。
x86サーバの売上額は、前年同期比4.9%減の962億円だった。出荷台数は、前年同期比2.8%減の11万4600台。x86サーバのうち、「Standard Server」(ベンダーが公開するカタログに掲載された標準的なマザーボードや筐体をベースとしたサーバ)は、売上額が前年同期比1.8%減の847億円、出荷台数が同0.3%減の9万8300台だった。
「Custom Server」(マザーボードや筐体が特定の顧客や用途向けに設計されたサーバ)は、売上額が前年同期比23.0%減の115億円、出荷台数が同15.5%減の1万6300台だった。Standard Serverは、間接販売を中心とした中堅・中小企業向けのサーバビジネスにおいて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行によるネガティブな影響がみられた。
しかし大企業向けのサーバビジネスにおいては、文教や通信、ITサービス、流通向けの大口案件があり、COVID-19流行以前の状態に戻ってきたとIDCはみている。Standard Serverは前年同期比の成長率で、売上額は微減にとどまり、出荷台数は横ばいとなった。
Custom Serverは、出荷台数の大半を占めるODM Directにおいて、ARMプロセッサを搭載したサーバの出荷台数比率が高まり、x86サーバの出荷台数が減少した。これにより、Custom Serverは、売上額、出荷台数ともに2桁のマイナス成長となった(ARMプロセッサを搭載したサーバは、その他のサーバとして集計)。
その他のサーバは、売上額が前年同期比76.5%減の63億円だった。前年同期にあった理化学研究所計算科学研究センター向けスーパーコンピュータ「富岳」の反動で、2桁の大幅なマイナス成長となった。前年同期の売上額から「富岳」分を除いた成長率をみると、前述したODM DirectのARMサーバが貢献し、その他のサーバは、2桁のプラス成長となった。
メインフレームは、売上額が前年同期比8.7%増の132億円だった。金融や製造、官公庁向けの大型案件が貢献してプラス成長となりました。なお、その他のサーバ、メインフレームでは、COVID-19流行によるネガティブな影響は特に見られなかった。
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