iPaaSとは? RPAとの違いや導入メリット、主要製品5つを紹介:IT用語3分リーディング
業務自動化における「RPAの弱点」を補い、処理を自動化する。サイロ化したシステムを連携して業務効率化を図る。
- iPaaS普及の背景、RPAとの違い
- 主要な製品5種類
- 関連用語
iPaaS(アイパース:Integration Platform as a Service)は、データの統合やシステム連携を実現するサービスを指す。SaaSの普及によって起きやすくなったシステムのサイロ化を解消し、業務全体の効率化を図れる。システム間連携が容易になり、データ活用の支援などにも効果を発揮する。
iPaaS普及の背景、RPAとの違い
SaaSは安価でスモールスタートが可能だが、システム間連携が困難なケースもあり、システムのサイロ化も生じやすい。例えば「SaaSが出力したデータを別のシステムに入力し、その一部を『Microsoft Excel』シートに転記する」といった中継的な手作業は、RPA(Robotic Process Automation)での自動化が難しい。
iPaaSは、各ツールやシステムを連携させてデータの処理やビジネスプロセスを横断的に自動化する。サービスの多くはローコード/ノーコードでの開発が可能だ。
iPaaSと似たツールにRPAがある。RPAは「作業者のデスクトップ操作」を自動化するため、連携先のツールやシステム、デバイスの仕様変更に伴うアップデートが必要だ。一方iPaaSは各ツールやシステムをAPIで連携してデータ処理を自動化するため、前述したような仕様の変更にも対応でき、SaaSを活用する際に作業者に発生しがちだった「ツールとツールを中継する手作業」も含めたプロセス自動化がしやすくなる。
製品の選び方
iPaaSには、さまざまな連携のニーズと企業規模に対応したサービスが存在する。初期費用が不要なものや無料トライアルを提供するものある。大規模なシステム連携は開発者を必要とし、導入のサポート体制を強みとするベンダーが存在する。以下に主だった製品を紹介する。
Zapier
米国ベンダーの提供する小〜中規模企業向けiPaaS。無料コースを含め5種類の料金プランがあり、全プランに無償トライアル期間を設ける。ノンプログラマーの行う定型処理の自動化を強みとする。(Zapierの連携アプリ一覧)
Anyflow
ノーコードでの自動化を強みとする小〜中規模向け国産iPaaS。シンプルな月額制の料金体系と「freee」や「クラウドサイン」といったバックオフィス系国産SaaSとの連携を強みとする。(Anyflowのサービス概要、料金プラン、連携アプリ)
DataSpider Cloud
中〜大規模企業向け国産iPaaS。販売代理店によるサポート体制を強みとする。ソフトウェア版は「勘定奉行」や「kintone」など、国内ユーザーの多い国産ツールに手厚く対応し、ローコードで柔軟かつ高機能なフローを作成できる。(DataSpider Cloudのサービス価格表)
Oracle Integration
Oracleが提供するiPaaS。Oracle関連製品の他、SNSアプリケーションや決済サービスなどと連携。関連製品と組み合わせての高い拡張性を強みとする。(Oracle Integrationの概要)
Azure Logic Apps
Microsoftが提供する中〜大規模向けiPaaS。特にMicrosoft関連製品との連携に強みを持つ。ノーコード開発も可能だが、より高度なフローを構築したい開発者に向けての学習コンテンツやコミュニティが充実している。(Azure Logic Appsの料金体系概要)
関連用語
iPaaSは「PaaS」「IaaS」などとは機能も目的も全く異なる。以下では、iPaaSに直接関連する用語を解説する。
レシピとは
ユーザーが自動化のために構築するシナリオの呼び方の一つ。「Zapier」や「IFTTT」では「レシピ」他製品では「フロー」「プロセス」などと呼ばれる。
ノーコード/ローコードとの関係
一般的にiPaaSは、レシピやフローを構築するためのノーコードやローコード開発環境を提供している。それによって、コーディングの知識のない業務現場の人員が業務の自動化に関われる。
PaaSとの違い
PaaS(Platform as a Service)はアプリケーションの開発環境やユーザーへの提供環境をクラウドで提供するもの。
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