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1年前と変化したRPAプロジェクトの外注事情

RPAはユーザー部門が自らの業務を効率化するための手段としてブームに火が付いたが、DX(デジタルトランスフォーメーション)やハイパーオートメーションといった言葉が流行する中でRPAの位置付けが変わり、その推進体制の在り方も変化を見せているようだ。

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 ここ数年でエンタープライズITとしての地位を確立したRPA(Robotic Process Automation)。RPAブームに火が付いた2016年頃は、自動化の取り組みを事業部門が主導で草の根的に広げる事例が目立ったが、数年たった今、RPA導入の主体や導入体制は徐々に変化しているようだ。

 RPA活用の現在地を探るために、キーマンズネットは「業務自動化に関する意識調査2022年」と題してアンケート調査を実施した(期間:2022年9月14日〜10月17日、有効回答数:518件)。本連載は、全7回にわたってアンケート調査から得られた結果を基に活用状況と課題、発生したトラブルなどを紹介する。なお、グラフで使用している数値は、丸め誤差によって合計が100%にならない場合がある。

 第6回となる本稿は、「RPAの推進体制と効果」について紹介する。

RPA導入を外部に頼る企業が増加、理由は?

 RPAブームに火が付いた2016年頃は、自動化の取り組みを事業部門の主導で草の根的に広げる事例が目立ったが、数年たってその状況は変化しているように見える。RPA導入プロジェクトの推進体制を知るために、「パートナー企業にコンサルティングやシナリオ開発などを依頼しているかどうか(その予定があるか)」について尋ねたところ、「はい」(29.1%)、「いいえ」(47.1%)、「分からない」(23.8%)という結果になった(図1)。


図1 パートナー企業への外注の意向

 これを2021年の同調査と比較したところ、パートナー企業に頼るとした割合は9.5ポイント上昇し、パートナー企業に頼らないとした割合は11.6ポイント減った。

 近年は単に個人の業務を効率化する手段としてRPAを導入するのではなく、全社業務を横断的にデジタル化、効率化するデジタライゼーションの一手段として位置付ける企業も増えている。だが、長期的なプロジェクトを成功させるためには明確なゴール設定やその計画策定、人材教育、技術的なノウハウが必要だ。プロジェクトを遂行する力を持った人材をそろえることも求められる。全社的なプロセス改革の一端としてのRPA導入というトレンドが高まる今、そのためにパートナー企業の知見やマンパワーを頼ることを選択する企業が増えていると予想できる。

 こうしたRPAプロジェクトをけん引する主幹部門については、「情報システム部門」(39.8%)、「ユーザー部門と情報システム部門」(31.1%)、「ユーザー部門」(21.8%)と続いた(図2)。RPAはユーザー部門が自らの業務を効率化するための手段として注目を集めたが、セキュリティや管理統制のための何らかの仕組みは必要だ。それらの要素を確保することを前提に情報システム部門がプロジェクトの主体としてアサインされていると考えられる。


図2 RPAプロジェクトの主幹部門

RPAで創出した時間は何に振り向ける?

 RPAの推進体制に視点を当て調査結果を振り返ったが、ここからはRPAを導入して成果が得られたかどうか、また成果を上げている企業とそうでない企業の違いについて探る。

 RPAを導入しているとした回答者に対して「期待通りの成果を上げられているかどうか」を聞いた。「想定以上の効果を上げている」(5.3%)、「おおむね想定通りの成果を上げている」(65.0%)というように一定の効果を得られているという回答は合計で7割程度に上った。「想定をやや下回る結果だった」(25.2%)、「想定を大幅に下回る結果だった」(4.4%)とした人は合わせて3割程度だった(図3)。


図3 RPAによる効果の度合い

 効果を得られた企業とそうでない企業では、取り組みや成果にどのような違いがあるのだろうか。回答者に対して「効果を得られた理由」「効果を得られなかった理由」を聞いたところ、以下のコメントが寄せられた。

 期待した効果を得られないとした回答者の理由はさまざまだが、シナリオや外部環境の改修といった要因でRPAがエラーを起こして復旧の手間が増えたり、想定業務に適用できず業務量の削減効果が想定以下だったり、あるいは時間を大幅に削減できてもワークフローの一部しか自動化できず、現場が効果を体感できなかったりといったことが、期待とのギャップにつながるようだ。

 こうしたギャップを減らすためには、RPA検討フェーズにおいて、どのような機能的制限があるのか、どういった業務に適用できるのか、自社のやりたいことにRPA製品がマッチしているのかどうかといったことを把握することが重要だと言われている。

 効果を得られた理由としては、単純作業の自動化による生産性向上や人為的なミスの防止、残業時間の削減、より付加価値の高い仕事への労働力の転換、モチベーションの向上、テレワークの前提環境となるデジタル化の整備といった項目が上がった。なお、より付加価値の高い仕事としては、「サービス品質の向上」や「経理データの詳細分析」「新規開発テーマの構想」「社内ルールの標準化およびITリテラシー向上のための教育」「人材教育など自己啓発」「DXの検討と実施」などが挙げられた。

想定の成果を得られなかった企業

  • ちょっとしたシナリオ改修でロボットが停止する。
  • 「Microsoft Excel」のマクロで可能な処理だと思った。
  • 工数低減にはつながったが、サーバ型製品は価格が高く、費用対効果が伴わない。
  • 該当業務における6〜8割の業務削減を見込んでいたが、5割程度しか実現できていない。
  • ランニング、開発コストが高すぎるので、人を雇ったほうがコスト安で柔軟な対応が可能
  • 社内手続きを一部自動化できたが、十分とは言えないため。
  • 全自動にならない。当初はスケジュール実行できていたが、できなくなった。常に手動での実行が必要で、手間が増えたと感じる。

想定の成果を得られた企業

  • 残業時間を短縮できた。
  • 残業時間の集計など、面倒な業務を省けることで業務担当者のモチベ−ションがアップした。
  • 単純作業をRPA化したことで、従業員はより付加価値の高い業務に従事できるようになった。
  • エンドレスに続くルーティングワークの業務を自動化することにより担当者の作業負荷が非常に軽減された。また同時に紙処理からペーパーレスに移行してテレワークが可能になったため、2倍3倍の効果があった。
  • 情報システム部門以外でもロボット作成人員を確保し、実際に作成したロボットが運用に乗っているから。
  • 作業漏れがなくなった。
  • コア業務とノンコア業務との切り分けができ、人でなくてもよいものを切り離せた。また、人為ミスがなくなるので確実な対応ができるようになった。

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