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4割の「ウソつき人事」は面接で何を“盛って”いるのか?

面接や職務記述書、オファーレターで約4割の採用担当者が求職者に対してうそをついたことがあると分かった。人事はどのようなうそをついているのだろうか。

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HR Dive

 履歴書作成支援サービスを提供するResume Builderが2023年8月14日に発表した報告書によると(注1)、採用担当者の約36%が「採用プロセスで求職者に対して、業務や自社に関するうそをついたことがある」と回答している。そのうち75%が面接で、52%が職務記述書、24%がオファーレターでうそをついたと答えた。この調査は1060人の採用担当者を対象に実施された。

人事はどのようなうそをついているのか?

 同報告書によると、うそをつくことについて「とても許容できる」「やや許容できる」と答えた割合が80%だった。また、うそをつく頻度については、担当者の6%は「常に」、24%は「ほとんどの場合に」、45%は「時々」、25%は「頻繁ではない」と回答した。

 具体的に、人事はどのようなうそついているのだろうか。

 採用担当者が最も頻繁にうそをつくのは「業務内容」についてだ。次いで「社内における成長機会」「全体的なキャリア開発の機会」に関してうそをつく。また、「企業文化」や「福利厚生」「社会問題への取り組み」「報酬」「自社の財務状況」に関するうそをつくこともあるという。

 採用担当者は「企業に関するネガティブな情報を隠すため」または「実際よりも良い仕事に見せるため」にうそをつく傾向がある。また、「より有能な求職者を引き付けるため 」または 「求職者を喜ばせる内容をあえて言うため」にもうそをつくという。

 求職者にうそをつく人のうち92%は「うそによる誤認があった上で、求職者が内定を承諾したことがある」と回答している。しかし、半数以上は「採用後に採用プロセスでうそをつかれたことに気づいて従業員が辞めたことがある」と答えている。これらの従業員は、採用から1週間ないし数カ月以内に退職することが多い。

 調査によると、採用プロセスでうそをつく採用担当者は、求職者からの連絡に返信しなくなることもあるようだ。約10%の担当者が「オファーレターを送った後に連絡を絶った」と回答している。

 Resume Builderのチーフ・キャリアアドバイザーであるステイシー・ハラー氏は「組織が求職者に対して、プロフェッショナルで礼儀正しい振る舞いを求めるのと同様に、求職者も組織に対してプロフェッショナルで礼儀正しい振る舞いを求めるべきだ。誠実で透明性のあるコミュニケーションを怠ることは、企業の評判を傷つけるだけでなく、より広範な採用のエコシステムを損なうことになる」と指摘する。

 採用プロセスにおいてうそをついたり、急に連絡を絶ったりする行為は、企業の採用プロセスに対する悪評となり、求職者が応募を取りやめることにつながりかねない。実際のところ、求職者は「スケジュールの遅れや透明性の欠如などを理由に応募を取りやめた」と述べている(注2)。

 ポジティブな採用体験は従業員の定着を促す手段としても機能する。従業員の一部は「自社における不公正な採用プロセスを原因として、社外で新しい仕事を探している」と述べている(注3)。企業はスキルアップを通じて社内の流動性を向上させ、プロフェッショナル・コーチングを通じて従業員がこれらの機会にアクセスしやすくなるように努めることで、自社が公平な採用を行っていると認めてもらえる。

 採用支援を行うModern Hireの報告書によると(注4)、採用プロセスは最終的に企業ブランドを支える体験になり、求職者のエンゲージメントに対して重要な意味を持つ。求職者のエンゲージメントを高めるためには、シームレスでタイムリーな採用体験、本物のブランドストーリーテリング、求職者の尊厳の優先が求められる。

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