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生成AIは中小企業の「万能薬」になる? 調査で見えた“危うい楽観論”の背景CIO Dive

GoDaddyの調査によると、中小企業の経営者の約10人に9人近くが、「仕事に生成AIを使用することに伴う悪影響を懸念していない」という。楽観的な見通しの裏に何があるのだろうか。

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 大企業が生成AIの導入に積極的な一方で、中小企業は慎重な姿勢を取る傾向にあるとみられてきたが、最近風向きが変わってきたようだ。

中小企業でも急速に広まる生成AI “危うい楽観論”の背景

 ウェブホスティング事業を営むGoDaddyが中小企業の経営者504人を対象として2024年1月に実施した調査によると(注1)、中小企業は生成AIが自社の業務にプラスの影響を与えると考えている。

 中小企業の経営者の約4分の3が生成AIツールを試したことがあり、そのうち26%は実際に仕事に使用している。GoDaddyが2023年5月に実施した同様の調査では、「生成AIツールを試したことがある」と回答した人ははわずか38%で、「仕事で実際に使用している」と回答した人はそのうち11%にとどまっていた。

 中小企業の経営者の89%は、「職場で生成AIを使用することによる悪影響を懸念していない」と回答した。

 著作権に関する懸念や知的財産の流出への懸念が生成AIの導入を遅らせる要因となっているが、中小企業の経営者の視点は異なる(注2)。

 GoDaddのラカ・スリラム氏(バイスプレジデント)は、電子メールで次のように述べた。

 「過去1年間で、より多くの起業家が生成AIの活用によって時間やお金、リソースを節約できると認識し、それを受け入れていることが分かった」

 スリラム氏は、中小企業が人手不足の解消などのユースケースに興味を示していることが、この明るい見通しの要因であるとしている。中小企業の経営者は、しばしばリソースや人手が不足していると感じている。

 「中小企業の経営者の大半は、生成AIを既存の技術を増強するものだと見なしている。日々の業務を改善し、ソーシャルメディアやWebサイトに掲載するコンテンツの下書きの作成や、売り上げ向上を支援するものと捉えている。これは、生成AIを既存の技術を代替するものとだとする見方とは異なる」(スリラム氏)

 中小企業は業務効率と顧客サポートを改善し、従業員の定着率を向上させるための一種の万能薬として(注3)、技術のアップグレードに期待を抱いている。調査企業であるAnalysys Masonの2023年の報告書によると(注4)、これらの目標を達成するために、中小企業はテクノロジーに関する予算を着実に増やしており、2027年までに年率8.3%の成長を達成する見通しだ。

 「時間を節約できるツールは魅力的だ。生成AIを使うことで、起業家はコンテンツの下書きが得られ、自社ブランドの基準に達するまで編集や構築、改良できる」(スリラム氏)

 また、スリラム氏は、次のようにも述べている。

 「仮に提案が気に入らなければ、生成AIには始めからやり直す柔軟性がある。中小企業の経営者は、自分たちが生成AIを常にコントロールできると実感している」

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