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IT人材不足による損失は約870兆円 救世主になるのは「あの技術」?CIO Dive

IDCの調査によると、IT人材不足によって企業は2026年までに約870兆円の損失を負うという。この損失額を減らせる可能性のある「あの技術」とは。

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 調査企業のIDCが実施した市場調査(編注)によると、IT人材不足によって企業は2026年までに5.5兆ドル(約870兆円)の損失を負う見込みだという(注1)。この損失は製品の出荷の遅延や競争力の低下、ビジネスの損失などに起因するとしている。

IT人材不足を救う「技術」とは?

 調査報告書によると、IT運用やクラウドアーキテクチャ、データ管理、ソフトウェア開発におけるスキルギャップが、3分の2近くの企業でDX(デジタルトランスフォーメーション)を最大で10カ月遅らせる原因となっている。「スキルギャップ」とは、企業が必要とするスキルの水準に、従業員のスキルが追い付かない状況を指す。

 IDCのジーナ・スミス氏(リサーチャー)は「この問題は深刻化しているが、『あの技術』がギャップを埋めつつある」と「CIO Dive」に語った。

 IDCが2年前に予測したIT人材不足による損失は6.5兆ドルだったため、今回の予測では1兆ドル下方修正されたことになる。その理由となった「技術」について、スミス氏は「AIコーディング技術やパーソナライズされた学習、その他の改善」としている。

 多くの企業が技術負債を解消してシステムを近代化し、ITを活用して成長を促進しようとする中で、必要とされるスキルの調達は長年の課題となっている。IDCは、2026年までに10社中9社がこの課題に直面すると予測している。

 スミス氏は同社の調査データを示しながら、次のように述べた。

 「人材不足はこの10年で深刻化している。新たな技術が進化するペースが迅速化し、ITリーダーは従業員のスキルや知見を最新の状態に保つことに常に苦労してきた。今もプレッシャーを感じているだろう」

 IT人材に関連する危機がもたらす影響は、ビジネス全体に及ぶ可能性がある。

 回答者の5人に3人以上が「スキルギャップが製品納入の遅れや収益目標の未達を招いた」と答えた。ほぼ同数の回答者が、「IT人材不足による品質問題や顧客満足度の低下」が起きていると答えている。

 新たに登場したLLM(大規模言語モデル)の導入を急ぐ動きが、問題をさらに悪化させている。回答者の45%は「AIの専門知識は現在、最も高く評価され、調達が困難なITスキルセットだ」と述べる。

 技術者の失業率が3%を下回る中(注2)、企業は研修や生成AIの活用でこの課題に対応している。

 回答者の半数以上が「自社で、生成AIによるスキルアップの取り組みを試験的に、あるいは本格的に展開している」と答えた。一方で、41%は「生成AIによるスキルアップに取り組む計画はない」と回答している。

 現在、生成AIはスキル評価データの分析や既存のトレーニングプロトコルの更新、新しいコースの作成に使用されている。しかし、生成AIはゲーム化されたトレーニングモジュールやハンズオンラボなど、IDCがより効果的なスキルアップ戦略として説明するものの強化にも役立つ可能性がある。

 生成AIを活用したコーディングツールは、人材不足による損失をある程度軽減するだろう。「IDCは、現在のIT領域におけるスキルギャップの深刻さと範囲が拡大すると考えているが、2027年までに、AI技術がスキルギャップの影響を約1兆ドル削減すると信じている」(スミス氏)

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