迫るWindows 10の保守期限 Windows 11ユーザーに聞いた「導入の落とし穴」:PCとキッティングに関するアンケート(2024年)/番外編
Windows 10のサポート終了が2025年10月と迫っている。Windows 11への移行には多くの障壁があるだろう。これからWindows 11への移行に取り組む人は、経験者の実体験を参考にしてほしい。
「Windows 10」のサポート終了が2025年10月と迫っている。「Windows 11」への移行では多くの工数がかかる上、業務アプリケーションとの互換性の問題なども出てくるだろう。
そこで本稿は、企業におけるWindows 10の利用状況や、Windows 11導入で工夫したこと、Windows 10からの移行で苦労したことを聞いた(回答数:295件)。これからWindows 11への移行に取り組む人は、移行経験者の実体験を参考にしてほしい。
Windows 11ユーザーが語る、導入の「落とし穴」
まず、業務で利用している端末のOSを聞いたところ(複数選択可)、「Windows 10」(74.6%)が最も多く、「Windows 11」(55.9%)が続く状況だった。2022年5月実施の前回調査と比較するとWindows 10の利用率が84.3%から9.7ポイント減少する代わりに、Windows 11が25.3%から33.6ポイントとなった。
特に501人以上の中堅・大企業帯では平均29.8ポイントも増加しており、Windows 11へのアップグレードが進んでいるようだ。
【Windows 11ユーザーが回答】Windows 11の導入で苦労した点や工夫した点
ではOSの移行や新規導入はスムーズに実施できたのだろうか。Windows 11の利用者に「Windows 10からの移行や新規導入で苦労した点や工夫した点」をフリーコメント(回答数:100件)で聞いた。特に多く寄せられたのは、「ソフトウェアや互換性」「操作や設定」に関するコメントだ。
ソフトウェアや互換性に関するコメント
- ソフトの互換性、標準設定が多少違う点
- 特殊なサードバーティ製ソフトが動作しなかったり、日本語QRコードを読み取らなくなったりするなどの問題が発生した。それを一つ一つ解決していくのに手間がかかった
- Window 11 proの導入は、プリインストール状態からのセットアップなので効率化できていない
- ソフトがWindows 10でしか動かないためダウングレードした
- Windows 10で稼働中の自作アプリがWindouw 11では動かなかった
- Windows 10では問題なかった(ソフトの)インストールが、Windows 11ではエラーが発生した。メーカーへの問い合わせ、回答に時間がかったが導入できた
- 対応していないハードがある
- プリンタが正常に動作せず原因究明およびパッチを当てる手間がかかった
操作や設定に関するコメント
- Windows 11に移行する際、対応していないアプリを削除しなければいけない場合、時間ばかりかかってしまう
- いつも利用しているソフトの移行。メールやツールなど、入っていないことが気付くとインストール作業になり、旧PCとの並行稼働期間が長くなってしまう
- ローカルユーザーで利用させたかったが、Microsoftアカウントが必須になったことでポリシーの管理が煩雑になった
- バージョンアップによるOSの差分の調査や影響を検証する必要がある
- スタートボタンが真ん中にあって使いにくく、Windows10スタイルに変更した
- 勝手にアップデートしてしまった人がいた(業務上問題なかったのでそのまま運用してもらっている)
- SSDへの交換においてデータ移動でつまずいたことがある
- 設定画面がWindows 10から変わっているので一苦労。せっかく設定しても、バージョンアップで設定画面が変わるのも困る
- キッティングマニュアルと実際のPC画面が違うことが多く、苦労した。セットアップ作業手順の質が悪く、キッティング作業が途中で止まり、苦労した
- セットアップ時にオフラインで作業するためのコマンド作業が面倒
- セキュリティアップデートの制御
- 「Microsoft Intune」のおかげで特に苦労はなし
【Windows 10ユーザーが回答】Windows 11への移行で苦労している点や障壁
次に、Windows 10のPCを使用している人に「Windows 11への移行で苦労している点や障壁」をフリーコメント(回答数:142件)で聞いた。「特に問題ない」との回答では、「特にない。それまでにはレンタルで乗り換えする」といったコメントもみられた。
他には、上記の「Windows 11ユーザーが導入で苦労した点や工夫した点」と同様、「ソフトウェアや互換性」や「操作や設定」に関するコメントが多く寄せられた。また、「スペックに関する問題」「コストに関する問題」「リース、外的要因に関する問題」など、より具体的な課題感が伝わるコメントもあった。
スペックに関する問題
- 既存アプリとの互換性、既存PCのスペック不足
- Windows 10で全く問題ないのに、Windows 11にはスペック不足で移行できないという理不尽
- セキュリティチップがないなどでWindows 11に移行できないマイクロPCが多く、リプレースする必要がある
コストに関する問題
- PCの価格高騰
- コストと使用中のソフト、アプリの相性
- サポートが切れると言っても全台買ってもらえない
- 予算の確保
- Window 11に適合しないPCの(リプレース)費用の捻出
- 予算承認
リース、外的要因に関する問題
- リース切れに合わせて入れ替えなので、期限を過ぎるPCが若干発生する
- 取引先の指定OSバージョン。取引先からの指定条件が更新されていないので、間接業務PCなどを先行して入れ替えをしている
- PCを更新してもらえない
※本記事は、キーマンズネットが実施した「PCとキッティングに関するアンケート(2024年)」(期間:2024年7月17〜28日、回答件数:295件)の結果を基に構成している。
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