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AI PCは2025年も企業は様子見? AIブームでも売れない理由を考察CIO Dive

ガートナーによると、企業は2025年もAI PCに慎重な姿勢を取るようだ。AIブームと言われて久しい中で、AI利用に最適化されたPCへのリプレースが進まないのはなぜか。

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 調査企業のGartnerが2025年1月16日(現地時間、以下同じ)に発表した報告書によると(注1)、企業はAIに最適化されたPCへの投資を急いでいなかった。Gartnerによると、世界における2024年のデスクトップPCおよびノートPCの出荷台数はわずか1.3%増の2億4500万台にとどまり、2023年と同様に2億5000万台を超えることはなかった。

企業が2025年もAI PCを購入しない理由とは?

 「Windows 10」のサポート終了が2025年10月に迫る中(注2)、主要ベンダーはAIの計算能力を求める企業のニーズに基づいてPCの買い替えが進み、需要が高まることを期待している。しかし、2024年にAI PCが話題となったにもかかわらず、市場に大きな変化は起きていない。

 AIのビジネスでの活用が本格化する中で、なぜAIの利用に最適化されたPCへの買い替えが進まないのか。

 世界全体におけるPCの出荷台数は第4四半期に1.4%増加し、5回の四半期で連続して微増が続いた。

 Gartnerのランジット・アトワル氏(シニアディレクターアナリスト)は、次のように述べた。「2024年から2025年にかけての経済環境の不確実性を考慮して、企業はPCリプレースの予算を削減し、Windows 11への移行を遅らせている」

「AI PC」と「それ以外PC」の境目が曖昧になる?

 AI PCへのリプレースが進まないのはなぜか。

 アトワル氏によると、企業が2024年に投資したのはオンプレミス型のワークステーションではなく、クラウド内で活用されるAIや生成AIだったという。「現在、多くの企業はAI PCの価値を認識していない。“追加コスト”を支払わなければならない点も問題だ」(アトワル氏)

 PCの大手メーカーのトップ3であるHPおよびDell、Lenovoが「Microsoft Copilot」を起動するためのCopilotキーやニューラルプロセッシングユニット(NPU)を標準機能として導入し、AI PCとそれ以外のPCの区別が意味をなさなくなる可能性もある。Gartnerは、2025年の出荷台数の半数をノート型のAI PCが占め、2026年には標準的なノートPCを完全に上回ると予想する(注3)。

 PCメーカーの見方はより慎重だ。

 HPのエンリケ・ロレス氏(プレジデント兼CEO)は、2024年11月の決算説明会で「AIを含む複数の新しい要因に後押しされて、2025年のPC市場は勢いを増すとの前提でわれわれは経営している」と述べた(注4)。

 2024年10月31日に終了した2024年の会計年度の最終四半期において、HPのPC出荷台数のうち15%以上がAIを搭載したユニットだった。ロレス氏は「2025年の会計年度はAI PCが出荷台数の4分の1を占めると予想している」と述べた。

 企業にとってAIへの対応は優先順位の高い項目だ。ただし、調達チームにとってはWindows 11への移行の方が懸念事項としてより差し迫っている。

 アトワル氏は「Windows 11へのアップグレードは、2025年を通じて企業が対処しなければならない主要な課題だ」と述べた。一方、一部の企業はPC業界が期待する対応をしない可能性があると警告している。

 「懸念されるのは、企業がWindows 11と互換性のあるPCでOSだけアップグレードして寿命を延ばすことだ」(アトワル氏)

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