本当にあった「金ドブAIプロジェクト」 数百万円は何に消えた?
最近のトレンドのおかげで比較的社内で承認されやすいAIへの投資。それだけに「何となく」「取りあえず」始まるプロジェクトも多い。ある企業はAI投資で数百万円を無駄にしてしまった。そこから学べることとは。
筆者の子どもがサッカーをしている関係で、仲の良い2家族が集まってサッカーを観戦することになった。
ちょうど日本のワールドカップ出場の可否が決まるアジア最終予選の対バーレーン戦の日だったので、子どもたちの参考になるかなと思い、2家族以外にも子ども数人を自宅に招待した。有名クラブチームのユースに所属する子もいて、普段とは違う視点で試合を見られるのかしらと興味が湧く。
ただ、筆者は「パリピ」ではないので、これまでホームパーティを開く機会がなかった。何を準備したらいいのか……。とりあえず鮮度の良い大腸(シマチョウ)や小腸(マルチョウ)を調達し、たっぷりのキャベツとニラ、そして〆の麺も用意してもつ鍋をふるまった。
試合が始まる前から子どもたちは大はしゃぎ。きちんと試合を見るだろうか。
数百万の行方は? 「金ドブAIプロジェクト」から学べること
先日とある製造業者に、AI活用に向けた環境整備に必要なソリューションの導入事例を取材した。
最近のトレンドのおかげか、AIへの投資はどの企業でも比較的承認されやすい。一方で、AIに対する高い期待値に応えるのは難しいのが現状だ。
事例先の企業はまさにその典型だった。AIプロジェクトに数百万円を投じたものの、投資に見合う成果は得られなかった。失敗とも言える状況に陥った要因はどこにあったのか。
事例企業のAIプロジェクトは、具体的には研究者が従来「Microsoft Excel」(以下、Excel)を中心に蓄積してきた実験データをデータレイクに放り込み、ML(機械学習)で材料特性の予測モデル構築に向けた環境整備を進めている。
今回のプロジェクトは、すぐには成果が出づらい予測モデルを作るものでもあり、成果がすぐには得られにくい予測モデルの構築であることから、費用対効果を明確に設定せず、試験的にAIを導入したという。
だが、明確な成果を設定していないプロジェクトに見られるように、このプロジェクトも順調とは言えず、時間ばかりが経過し、成果には結びついていない印象を受けた。
この事例企業は、Excelの過去のデータを蓄積する基盤構築に数百万円を投じている。しかし、まだMLモデルをしっかりと構築できておらず、データレイクを単なる「入れもの」として使っているのが現実だという。
成果を聞いても、研究者が保有する過去の資産を共有し、必要に応じていつでも活用できることに終始し、大学との共同研究で作成したモデルのチューニングを少し実施した程度だ。確かに、データ活用のリードタイムは大きく短縮されたようだが……。
事例企業にとってなかなかの投資規模であるはずだが、プロジェクトのゴールが明確になっていない。取材自体もはっきりしないものになってしまった。
AIの可能性に対する期待値は高いものの、日々の業務に組み込めるかどうか、多くの研究者を巻き込めるかどうかが成否を分けることになるだろう。
個人的にAIの恩恵を受けている人は大勢いるはずだが、企業全体で大きな投資効果が出るには、まだ時間を要するのかもしれない。
いつの間にか決まっていたワールドカップ出場
さて、大勢が集まって始まったサッカー観戦だが、案の定、子どもたちはおしゃべりに夢中で大人たちは酒を堪能している間に前半が終了していた。
後半も、盛り上がるのは日本が点を取ったときだけで、気付いた時にはワールドカップの出場権は既に手にしていた。
子どもたちに試合の印象を聞くと、得点シーンの話題ばかり。まあ、そうですわな、だって見ていないもの。
子どもたちが楽しかったので良しとしたいところだが、自分たちのサッカーに役立つ情報を少しは得てほしかった。“自分の技術上達に役立ててほしい”という目的はいつの間にか霧散してしまった。やむを得ない。
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