「見れば分かる」のになぜ問い合わせるのか 労務部門を悩ます名もなき業務の実態
SmartHRは、人事労務領域に残る「名もなき業務」の実態調査結果を公表した。問い合わせ対応、督促といった周辺業務が、依然として担当者の負担になっていることが分かった。
人事労務分野のクラウドサービスを提供するSmartHRは2026年4月7日、「『名もなき業務』実態調査(2025年12月)」の結果を公表した。年末調整や各種手続きのシステム化が進む一方で、従業員への周知や確認、問い合わせ対応、督促といった周辺業務が、依然として担当者の負担になっている状況が明らかになった。
問い合わせの約9割が「マニュアルや設定を見れば分かる」
調査結果によると、労務担当者の49%は通常期でも1日3回以上の業務中断を経験しており、繁忙期にはその割合が70%にまで上がる。業務が中断する要因としては「従業員からの突発的な問い合わせ対応」が最も多く、88%だった。次いで「未提出者への督促、リマインド」が59%だった。問い合わせや督促が本来の労務業務を細かく分断している構図がうかがえる。
年末調整の場面でも、担当者を疲弊させる要因は入力や計算そのものではなく、その前後に発生するやりとりだった。最も多かったのは「提出書類の不備確認や修正依頼」(67%)で、「システムへのデータ入力、転記作業」(29%)や「税額の計算作業」(23%)を上回った。繁忙期に従業員とのやりとりへ1日1時間以上を費やす担当者は60%に達しており、手続きの電子化だけでは負担軽減が十分に進んでいないことが読み取れる。
労務担当者が受ける問い合わせの多く(計88%)は、「マニュアルや規定を見れば分かる」内容だった。一方で、担当者側はその理由を「調べること自体が面倒」と考えているが、従業員側は「記載内容が分かりにくい」「マニュアルの所在が分かりにくい」と回答している。このことから、情報の見つけやすさや理解しやすさに課題があり、単にマニュアルを整備するだけでなく、必要な情報にたどり着きやすい運用設計も必要なことが分かる。
また、店舗や工場などの現場で働く従業員への対応にも課題がある。そうした環境で働く従業員は、日常業務で社用PCを使わないケースが多い。労務担当者の63%は、こうした従業員とのやりとりが発生していると回答した。主な連絡手段は「現場責任者への口頭伝達、中継依頼」が69%で最多だった。こうした手段については、83%が「一人とやりとりするだけでも時間と手間がかかる」、同じく83%が「本人が内容を確認、理解できたか把握できない」と感じていた。従業員への情報伝達の仕組みそのものが、労務部門と現場の双方に負荷を生んでいる可能性がある。
この調査は、労務管理システムを導入済みで、従業員数51人以上の企業に勤める労務担当者と従業員を対象に実施したもので、有効回答数は1790人だった。
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