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新人対応を「IT介護」の入口にしない 情シスが受け入れ対応で詰まる前に見ておきたい5本

5月は、研修を終えた新入社員が現場に入り始める時期でもある。現場での受け入れ準備はもちろん、PCキッティングやアカウント発行、利用ルールの説明など、情シスの業務も一気に増える。今回は、過去記事から、新入社員の受け入れ時に確認したい5つの論点を紹介する。

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 4月の研修を終えた新入社員が、配属先で実務に関わり始める時期になった。PCを受け取り、社内システムのアカウントを使い、チャットやファイル共有、生成AIにも触れるようになる。そこで起きるトラブルは、新人本人の不注意だけで片付けられるものではない。受け入れ側のルールや運用が曖昧(あいまい)なままでは、端末紛失への対応遅れや権限付与のミス、非公認AIの利用といった問題が情シスに集中する。

 新人が現場に出るタイミングは、情シスにとっても自社のIT運用を見直す機会になる。今回は、過去記事から、新入社員の受け入れ時に確認したい5つの論点を紹介する。

新人対応を「IT介護」の入口にしない

 新入社員の受け入れでは、PCの準備をはじめ、アカウント発行や社内ツールの説明、セキュリティ研修、問い合わせ対応など、情シスの業務が一気に増える。ここで「分からないことは情シスに聞けばいい」という状態を作ってしまうと、従業員のITスキルが伸びず、情シスが細かな問い合わせ対応に追われる「IT介護」に陥りかねない。

 受け入れ時に大切なのは、PCやアカウントを用意して終わりにしないことだ。新人がつまずいたときに、まず何を見ればよいのか、誰に聞けばよいのか、どこまで自力で解決してほしいのかを示しておく必要がある。PC準備やセットアップ自動化、セキュリティ研修、Q&A整備などを扱ったこの記事は、新人対応をその場限りの個別対応にしないためのヒントになる。

PC配布とキッティングは属人化しやすい

 新人が現場に入る前に避けて通れないのがPCの準備だ。入社や配属のたびに発生するキッティングは、台数が少なければ手作業で回せるように見える。しかし実際には、個別設定や社内ルール、利用するソフトウェア、データ移行、セキュリティ要件などが絡み、情シスにとっては負荷の大きい業務になりやすい。

 新人の配属が重なる時期こそ、PC準備が情シスの個人対応に依存していないか、経営層や他部門に作業負荷が伝わっているかを見直したい。手作業で回している部分をどこまで標準化できるか、予算や外部委託を含めてどう整理するか。PCキッティングの実態と情シス、経営層の認識ギャップを扱ったこの記事は、受け入れ準備の負荷を可視化する上で参考になる。

端末紛失は、起きた後の初動で差が出る

 配属直後の新人は、社用PCやスマートフォン、入館証、紙資料など扱うものが一気に増える。テレワークとオフィス出社が混在する働き方では、端末を持ち歩く機会も多くなる。紛失を完全に防ぐことは難しいからこそ、起きた後の動きを事前に決めておく必要がある。

 具体的には、紛失時の連絡先や端末内に保存された情報の確認、端末経由でアクセスできるサービスの洗い出し、アカウント停止、パスワード変更、アクセスログ確認まで、報告を受けた後の動き方を決めておく必要がある。入社直後のPC紛失事例を基に対応手順を整理したこの記事は、端末を持ち歩く前提で受け入れ体制を整える際に参考になる。

新人配属を機に、IDや権限、利用ルールを棚卸しする

 新人を早く業務に参加させるために、アカウント発行や権限付与を急ぐ場面は多い。ただし、必要以上に広い権限を渡したり、異動者に前部署の権限が残ったままになっていたりすると、後から管理できない状態になりやすい。新人配属のタイミングは、IDや権限を「発行して終わり」にしないための棚卸しにもなる。

 退職者や異動者、新入社員のIDと権限、メール、VPN、クラウドの認証設定、新年度向けの注意喚起、インシデント発生時の連絡網などは、追加投資をしなくても見直せる項目だ。誰に何を使わせるのか、どこまで許可するのか、事故が起きたとき誰に連絡するのか。新年度に見直したいセキュリティ項目を整理したこの記事は、配属後の運用の抜けを点検する際に使いやすいだろう。

できるだけお金を掛けない「春のセキュリティ総点検」 新年度に見直すべき10項目を解説

生成AIは、禁止よりも「使える環境」と線引きを示す

 新人が現場に入ると、資料作成や調査、要約、翻訳、コード生成など、さまざまな場面で生成AIに触れる可能性がある。ここで会社として認めているツールや、入力していい情報の範囲が曖昧なままだと、従業員は使いやすい外部サービスに流れやすくなる。これは新人に限らず、現場全体で起きる問題だ。

 会社公認のAIを用意していても「業務に必要な機能が足りない」「社内データと連携できない」「ルールが十分に伝わっていない」といった状態では、非公認ツールの利用を招きやすい。生成AIを使わせるか禁止するかだけでなく、何に使えるのか、どの情報を入力してよいのか、使いたい機能が足りない場合にどこへ相談するのかを示す必要がある。シャドーAIの発生要因を調査したこの記事は、生成AIを現場で使わせるための環境整備を考える上で参考になる。

なぜ「シャドーAI」を使うのか? 調査で分かった“会社公認AI”への不満

新人受け入れを、情シス運用を見直すきっかけに

 新人受け入れで起きるトラブルは、個人の不注意として片付けられがちだ。しかし、PC配布やID管理、端末紛失時の対応、生成AIやSaaSの利用ルールが曖昧なままでは、同じ問題は毎年繰り返される。新人が迷う場所は、組織のIT運用が曖昧な場所でもある。

 重要なのは、新人に全てを覚えさせることではない。PCを受け取った後に何を見ればよいのか、アカウントや権限はどの基準で付与されるのか、端末を紛失したとき誰に連絡すればよいのか、生成AIやSaaSをどこまで使ってよいのか――こうした基本的な線引きを、受け入れ側があらかじめ示せているかどうかだ。

 新人が現場に出るタイミングは、情シスにとっても、自社のIT運用を見直す機会になる。問い合わせ対応を個人の頑張りで吸収するのではなく、受け入れ手順、Q&A、権限管理、連絡網、利用ルールとして整えておきたい。

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