RPAに150のAIモジュールを連携可能に、老舗RPAベンダーの意地と底力
老舗RPAベンダーのBlue Prismが、日本市場での活動強化を宣言した。決して、日本市場に早期に乗り出せたとはいえない同社だが、他社製のRPAツールからの移行案件も増えているという。どのような強みを推し出しているのか。
「最初はゆっくりとしたスタートだったが、この2年間、日本の顧客の声を聞き、学びながら日本のビジネスに対応することに全力を尽くしてきた」――RPAの老舗ベンダーBlue PrismのCEOアレスター・バスゲート氏はこう話す。
Blue Primsは、2001年に英国で創業。世界で1500社以上、パートナー100社以上を有し、「IT部門によって管理・統制されるエンタープライズRPA」という強みを推し出す。近年は、構築済みのAIや認識技術などをコンポ―ネットの形でダウンロードし、ロボットに組み込めるマーケットプレース「Digital Exchange」といったプラットフォームの開発にも注力する。
一方、日本市場においては2017年に支社を設立し、決して日本市場に早期に乗り出せたとはいえない。RPAツールが群雄割拠する今、どのような特徴や戦略を打ち出すのか。2019年9月19日の記者発表会では、日本型RPAの弱みとともに、RPAの運用・管理に資する同社ツールの機能や、AIラボの活動、RPAと連携できるAIモジュールの拡充といったトピックが解説された。
日本型RPAの弱点
日本ではどのような戦略を打つのか。Blue Prism日本法人の社長 長谷太志氏は、総務省が掲げる3段階の自動化レベルになぞらえ、日本での自動化レベルはクラス1、つまり「個人作業の自動化」を目指したデスクトップ型のRPAツールによる作業自動化が進んでいると分析。従業員のユーザー個々のデスクトップ作業を個別に自動化しているレベルでは、ロボット台数が数百、数千、1万台を超えた際に統制や管理、運用が困難になり、大規模な展開が難しくなると主張する。
この課題に対し、サーバ型の製品であるBlue Prismは、「オブジェクト指向」のアーキテクチャによって、「プロセス」と「オブジェクト」を分離し、ロボットの一元的な監視と運用を実現する。
例えば「購買業務向け自動化」というプロセスがあるとする。このプロセスを実行する際には、Salesforce用のログインや、目的の処理、ログアウトなどの処理を記述した「Salesforce用オブジェクト」という部品を呼び出して利用する。つまり、個々のプロセスと、特定のシステムへの操作を可能にする部品としてのオブジェクトを分離するというアーキテクチャだ。
これによって、操作対象のOSやERP、CRM、HRなどのシステムに変更、バージョンアップがあっても、集中管理されているオブジェクトを変更すれば対応でき、個々のプロセスをわざわざメンテナンスする必要がない。「全体統制が可能になり、野良ロボットができにくくなる」と長谷氏は説明する。
長谷氏によれば、海外の企業ではRPAのクラス2に移行して展開している事例が多く、日本は作業の自動化から業務自動化へとシフトし、クラス1からクラス2への発展を考える時期に至っている。
そのために、例え現場主導の導入であっても、「統制、セキュリティ、運用管理」をITのプロフェッショナルが担うことと、それに資するツールが必要であると長谷氏は主張する。
AIに関連する約150のWeb APIをBlue Prismのスキルに
長谷氏によれば、Blue Prismは2019年度に、国内の顧客を3桁以上増やした。中でも他社製RPAツールからの移行案件は全体実績の30%に上り、2020年度には50%に増えることを見込む。ニコンや日本航空などの大手顧客も事例化し、顧客企業のうち約3割は大手企業、他はパートナー中堅・中小企業という内訳だ。
パートナーソリューションとして既存のRPAをマイグレーションできる移行メニューの提供も始まった。約1年前のThoughtonomy買収を布石として、中小企業や行政組織、スタートアップ企業でも使いやすいインテリジェントなサービスを、日本で間もなくローンチ予定だ。「今後は日本での活動強化のために人員を増強し、プラットフォームとしてのRPAを展開していく」とバスゲート氏。
同社の強みの1つであるRPAとAIの連携については、ロンドンのAIラボを12カ月で倍の規模にする予定だ。Blue Prism 共同創業者兼CTOのデイヴィッド・モス氏は「AIラボのチームは機械学習やコグニティブなどの技術を使い、簡単かつ正確に業務支援する方法を探求している。また顧客がMicrosoft、Google、AmazonのAIモジュールを利用できるよう、約150のWeb APIをBlue Prismのスキルに変換している」と紹介。バスゲード氏も「AIの実装方法は多様だが、それらをいかに1つにつなげるかが重要だ。AI活用へのトライアルを進めてほしい」と付け加える。
その他、SNSやBlue Prismユーザー会など、パートナーやユーザー同士のオンラインコミュニティーも活発化しているという。今後も、パートナーを含めたエコシステムの中でコンテンツやサービスなどを提供し、顧客を支援するパートナープログラム開発に注力するという。
バスゲート氏は「ソフトウェア、パートナーシップ、コミュニティーを通じて顧客のビジネスや業界を大きく進展していくお手伝いをしたい」と抱負を語った。
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