「あの資料、どこだっけ?」が月4時間 調べ直しを生む「ナレッジ共有」の盲点
ヌーラボが実施した「調べ直すことによる経済的損失」の調査によると、情報の探し直しで月4時間の損失が発生しているという。その背景には何があるのか。
「これ、どこに書いてあったっけ」――。社内規定を確認したり、過去の会議で決まったことを探したり、業務の進め方を確認したり。仕事をしていると、既に一度調べたはずの情報を、もう一度探すこともある。
こうした「調べ直し」は、単なる小さな時間ロスではない。必要な情報が個人の記憶や社内に散在する資料に埋もれていると、探す時間だけでなく、特定の人に聞かなければ分からない、資料を読んでも判断の背景が分からない、といった問題にもつながる。
なぜ「調べ直し」はなくならない? 情報共有で欠けていること
ヌーラボが全国のビジネスパーソン1000人を対象に実施した調査では、「調べ直し」を週1~2日行う人が31.8%に上った。1回の作業に「15~30分」を費やす人も35.1%を占め、回答結果から算出した月間の平均所要時間は約4時間だった。
さらに、調べ直しにストレスや負担を感じる人は57.1%、業務に必要な情報が特定の個人に依存していると感じる人は60.5%に達した。
では、なぜ一度調べた情報を、私たちは何度も探し直すのか。
つまり、企業のナレッジ共有で欠けているのは保存場所だけではない。過去の判断に至った経緯や、情報が生まれた背景といった文脈だ。資料が存在していても、「分かりにくい・使いにくい」(29.6%)、「整理されていない・更新されていない」(29.0%)といった理由で、必要な情報にたどり着けないケースも多い。
問われているのは、単に資料を保存する場所を作ることではない。「何が決まったのか」だけでなく、「なぜそう決まったのか」という文脈まで、必要なときに取り出せる状態にできるかが課題になっている。
実際、今後の知識共有システムに求める機能として、「欲しい情報をすぐ検索できる仕組み」が38.2%で最多となったほか、「資料や情報を自動で整理・更新する仕組み」が34.2%、「AIに質問することで必要な情報や過去の経緯を把握できる機能」が31.7%を占めた。
「調べ直し」による時間の浪費。その背景には、社内の情報が組織の知識として蓄積されず、個人の記憶や散在する資料に依存させる構造がある。AIを含むナレッジ共有の仕組みに、いま求められているのは、検索の高速化だけではなく、過去の判断や業務の背景まで含めて「知識」として取り出せる仕組みなのかもしれない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
ニュースピックアップ
この記事の著者
こんなメディアも見られています
キーマンズネットに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「パスキーはワナだ、使うな」にネット騒然 プロが“待った”をかけるワケ:902nd Lap
-
2
「Gemini Notebook」で始める「AI×自動化」実践ガイド
-
3
今、IT資格を取るならどれ? ランキングに見る「急浮上の資格」と「不動の資格」
-
4
48年も愛された名作CPU「Z80」を、引退に追い込んだ“抗えない事情”
-
5
大田区、年1000時間の問い合わせを「AI電話」で削減できるか? 実証実験で見えた課題
-
6
止まらない不正アクセス、広がる情報漏えい 大手企業・公的機関を襲った10事案
-
7
「言い訳文化」から脱却のNECが足立区に伝授した生成AI活用術とは データ活用“逆算”の鉄則
-
8
Microsoftの“あのキャラ”がまさかの復活? 公式「X」乗っ取り事件の珍騒動:901st Lap
-
9
相次ぐ不正アクセス、でもセキュリティ訓練は「やりっぱなし」の悲惨な実態【企業調査】
-
10
C言語は「危険」と言われても、専門家が「使う価値は十分にある」と言うワケ:900th Lap
キーマンズネット SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
キーマンズネットをフォロー