SASE導入が進まない中堅企業 原因は「回線とセキュリティの分離運用」か
中堅・中小企業でサイバー攻撃が急増する一方、専任IT人材の不足によってSASEの導入・運用が大きな課題となっている。この運用負荷に対してNTTPCが打ち出したのが、アクセス回線からインターネット接続、SASEの運用まで一括してカバーするサービスだ。
サプライチェーンを起点とするランサムウェア攻撃などの脅威が高まる中、中堅・中小企業にとってもセキュリティ対策の強化は喫緊の課題となっている。対策の一つとして、ゼロトラストの考え方に基づくSASE(Secure Access Service Edge)が注目を集めているものの、導入にはコストや運用体制などの課題もある。
その背景にあるのが、中堅・中小企業における「一人IT担当者」への負担集中や、専任IT人材の不在だ。
SASEの導入・運用には、ネットワーク構成の設計に加え、アクセス制御やWebフィルタリングなどのセキュリティポリシーの設定や、アラートの監視、脆弱(ぜいじゃく)性に対処するためのファームウェアの更新など、幅広い専門知識と技術が求められる。
運用コストや高度な専門スキルの壁に阻まれ、従来のやり方のままセキュリティリスクを抱え込み続けてしまうのが実態だ。
インターネット回線とSASEを別々に契約・運用している場合、障害発生時の問い合わせ窓口や問題の切り分け作業が分散し、IT担当者の運用負担が大きくなるという構造的な課題もある。
フルマネージドSASEとアクセス回線を「ワンストップ化」
こうした課題に対してNTTPCコミュニケーションズ(以下、NTTPC)は、網屋の「フルマネージドSASE Verona」との連携販売を強化すると発表した。中堅・中小企業におけるSASE導入を促進し、セキュリティ強化を支援する狙いだ。
ゼロトラストを実現する網屋のSASEサービスに、NTTPCの「InfoSphere IPoEインターネットサービス」と光コラボレーションモデル「ファイバーライン」を組み合わせて提供する。
ポイントは、アクセス回線からインターネット接続、SASEの運用まで一括してカバーする点だ。回線の手配や開通、監視、保守の窓口を一本化して、障害時の切り分けの迅速化とサービス管理の効率化を実現する。SASEの障害対応や設定変更など、日々の運用・管理はセキュリティの専門エンジニアが代行する。
運用負荷や運用コストを低減することで、専門人材の確保が難しい中堅・中小企業もSASEを導入・運用できる環境を提供するという。
IT人材が不足する中で、外部リソースをどう生かすか
高度な専門スキルを持つ人材の採用や育成が難航する中、セキュリティ製品と通信回線を個別に契約・運用し続けるスタイルは、社内IT担当者の負荷を増大させる要因となりやすい。回線とセキュリティ基盤を一括で調達して日常の運用・監視を外部に委ねるモデルは、運用負担を軽減するための有効なアプローチになるだろう。
こうしたアプローチを含め、自社のセキュリティやネットワーク基盤を見直す際には、単なる機能要件やコスト面の比較だけでなく「現状の社内体制で運用を維持・継続できる設計になっているか」を重視する必要がある。
どれほど高度な機能を備えた製品を導入しても、設定やログ解析、障害対応などの運用が追いつかなければ脆弱性は放置され、障害発生時の対応も遅れてしまう。自社の限られたリソースで確実に回し続けられる「実効性のある運用体制」を描けているかどうかが、今改めて問われている。
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