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3層型インフラを全面刷新した企業が「HCI」を選んだ理由は消去法で選んだわけではない

三菱電機トレーディングは、5年以上利用していた3層型システムの老朽化に直面していた。運用管理やバックアップの負担、ストレージのサポート期限など、さまざまな課題を抜本的に解決するために同社がHCIを選んだ理由は何か。

» 2019年12月13日 10時00分 公開
[PR/キーマンズネット]
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 三菱電機グループをはじめとした国内外の企業向けに部品や材料を取り扱う三菱電機トレーディング。1979年に設立された同社は、資材調達と供給の実績、国際取引と豊富な国内外物流ノウハウ、それらを有機的につなぐ情報システム構築といった強みを進化させて成長を続けている。

 顧客満足度を高め、付加価値を生み出すためにも、企業のIT基盤には堅牢(けんろう)性や安定性、スピードなどが求められる。同社は5年以上利用していた3層型ITインフラの老朽化に伴うさまざまな課題に直面していた。特に基幹システムで利用していた共有ストレージはサポート終了(EOS)が迫っていた。これを機に同社は、ITインフラの課題を抜本的に解消する全面的な刷新のために、ハイパーコンバージドインフラ(HCI)の導入を決意した。

 同社が抱えていたITインフラの悩みは、具体的にどのようなものだったのだろうか。そして同社がデジタルトランスフォーメーション(DX)を支えるIT基盤としてHCIを選んだ決定打は何だったのだろうか。

3層型のITインフラが抱えていた課題の数々

吉井茂雄氏 三菱電機トレーディングの吉井茂雄氏

 同社が直面していた課題の一つは、運用コストの増大だ。既存の3層型インフラは、新規サーバの追加や各システムのデータ肥大化によってストレージの容量不足に悩まされていた。「設計当初の想定よりもデータ量が大幅に増えたため、途中で共有ストレージの容量を数TB単位で追加することになり、多額の投資を余儀なくされました。4本あるラックのうちの2本を共有ストレージが占めており、データセンターの費用もかさんでいました」と三菱電機トレーディングの吉井茂雄氏(情報システム部 部長)は語る。

 もう一つの課題は運用管理だ。三菱電機トレーディングの大塚浩徳氏(情報システム部システム計画・運営グループ)は次のように語る。「3層型インフラは仮想マシン(VM)側と共有ストレージ側でそれぞれ個別に管理する必要がありました。特に共有ストレージは、論理ユニット(LUN)の設定や容量が枯渇したボリュームへのリソース再割り当てなど、管理業務も複雑化していました。当社は東日本と西日本の間で災害復旧(DR)環境を構築しているため、メインサイトとDRサイトの両方同時に同じ作業をする必要があったことも負担でした」

大塚浩徳氏 三菱電機トレーディングの大塚浩徳氏

 バックアップにも懸念があった。同社は仮想アプライアンス型のバックアップソフトウェアをサブスクリプション契約で導入し、重要なVMのバックアップを日次で取得していた。差分のみをバックアップしていたが、それでもバックアップデータは膨大になる。そこで共有ストレージとは別にNAS(ネットワーク接続ストレージ)を数台調達し、バックアップのために利用していた。「NASはSAN(ストレージエリアネットワーク)に比べると安価ですが、I/O性能が高くはないためバックアップ処理に長時間を要します。しかもバックアップ中は重い負荷がかかることから、営業時間内はバックアップを取りたくても取れない状態でした。いざバックアップデータが必要になった際に、リストアに時間がかかるのも大きな問題でした」。大塚氏はこう振り返る。

 社内のユーザーに対しても十分なITサービスを提供できていたとは言えなかったようだ。三菱電機トレーディングの立川広貴氏(情報システム部システム計画・運営グループ マネージャー)はこう語る。「もともと私はアプリケーション開発の部署に在籍していたのですが、新しい環境をインフラグループにリクエストしても、デリバリーされるまでに数日待たされることがありました。新しいシステムやサービスをアジャイルに展開することが求められる時代だからこそ、この遅さはDX推進の足かせになりかねないと懸念していました」

課題を解決するHCI「HPE SimpliVity」に注目

立川広貴氏 三菱電機トレーディングの立川広貴氏

 これらの課題を抜本的に解決する製品として、同社はHCIに注目した。

 比較対象として3層型インフラとクラウドインフラも検討したという。3層型インフラについては、既存製品の後継機にリプレースするという案が出たが「DXにつながるような新しい価値を見いだすことができませんでした」と吉井氏は振り返る。共有ストレージのEOSが迫っていたために全台移行する必要があった点もネックとなった。「システムによってはクラウド移行が困難なものもあり、仮想環境から仮想環境への移行(V2V)ができない可能性もあったため、今回は見送ることにしました」(吉井氏)

 このような背景はあったものの、決して消去法でHCIを選択したわけではない。同社がHCIに大きな魅力を感じたきっかけはHewlett Packard Enterprise(HPE)が提供するHCI「HPE SimpliVity」との出会いだった。大塚氏は「大塚商会の展示会『実践ソリューションフェア』に足を運び、既存の3層型インフラが抱えていた課題を示して相談したところ、提案されたのがHPE SimpliVityでした」と語る。HPE SimpliVityのメリットである「バックアップソフトウェア標準搭載」「高度な重複排除技術によって保存容量が長持ち」といった点に興味を引かれたそうだ。

谷崎将也氏 大塚商会の谷崎将也氏

 「HPE SimpliVityをサーバ管理ソフトウェアの『VMware vCenter Server』で一元管理できることや、複雑なストレージ管理が不要になることなど、当社のニーズに合致し過ぎていて耳を疑うほどでした。最新技術を多数搭載した製品ということに多少の不安もありましたが、大塚商会が自信を持って薦める製品ならば安心だろうという点が決め手となりました」(大塚氏)

 商談を担当した大塚商会の谷崎将也氏(PLMソリューション営業部首都圏製造PLM2課 専任課長)は次のように振り返る。「当社はいかに斬新な製品でも、自分たちがその製品や技術に習熟するまでお客さまに提案することはありません。HPE SimpliVityも社内で検証と実践を重ね、HPEから技術認定を取得したことで、満を持して拡販に踏み出しました。さまざまな業種で導入実績も増えつつあります。この絶妙なタイミングでご提案できたことで、ご好評を頂けたようです」

検証用に導入した1ノード構成のHPE SimpliVityで効果を確認

 三菱電機トレーディングはHPE SimpliVityを本番導入する前に、検証用として1ノード構成の同製品を購入した。主に4つの評価ポイントについて詳細なPoC(概念実証)を実施し、効果を確認したという。

  • 重複排除機能
    • HPE SimpliVityの機能でVMのクローンを何台作成しても、仮想ストレージの消費容量が増えないことを確認した。
  • バックアップ/リストア機能
    • 10分間隔で複数台のサーバのバックアップを実施。取得したバックアップデータをそのまま1カ月残したが、見掛け上の総データ量が数百TBに膨らんでも問題なく稼働していることを確認した。その状態で、過去の数千個以上のリストから目的のバックアップデータを検索し、短時間でリストアできることを確認した。
  • レスポンス
    • 本番機のクローンをHPE SimpliVityにデプロイしてバッチの処理時間を計測したところ、既存の3層型インフラと比べて約1.2倍速くなった。オールフラッシュのSDS(ソフトウェア定義ストレージ)が3層型インフラの共有ストレージと遜色ないか、それを上回るレスポンスを出せることを確認した。
  • DR機能
    • 約50VMが問題なくDRサイトで自動起動することを確認した(この検証については、HPE SimpliVityを本番導入し、DR環境を整えてから実施した)。

期待以上の活躍を見せたHPE SimpliVity

 こうして三菱電機トレーディングはHPE SimpliVityの導入を決定した。リアルタイムのデータ重複排除・圧縮を実現する専用ハードウェアアクセラレーター搭載のフルオプションモデルだ。メインサイトは5ノード、DRサイトは2ノード構成のHCIを構築し、既存の3層型インフラからVMおよびデータの移行を経て、2019年8月中旬からの本番運用となった。その結果、従来の課題については、

  • データセンターのラック本数を4本から2本に削減
  • 共有ストレージの撤廃に伴う保守回線の廃止も合わせ、ランニングコストを大きく削減
  • サーバのクローンバックアップ/リストア時間を数十分〜数時間から数十秒に短縮
  • サーバの差分バックアップ/リストアを数時間から数十秒に短縮
  • ゲストOSのディスク拡張やストレージ設定が不要

など数々の改善に至り、「期待以上の成果を挙げています」と吉井氏は評価する。

図 図 HCI移行後の変化《クリックで拡大》

 特筆すべき成果の一つはDR環境の構築だ。RTO(目標復旧時間)は4時間、RPO(目標復旧時点)は10分程度という高度なDR要件だったが、HPE SimpliVityの「RapidDR機能」のおかげで実現できたという。「本当に実現できるかどうか、実際に試してみるまでは不安でした。約50台のゲストOSが全て自動起動できるようになるまでトライ&エラーを繰り返すなどの苦労もありましたが、最終的には成功に至りました」と大塚氏は語る。

HPE SimpliVityで「攻めのIT」を目指す

片岡 唯氏 日本ヒューレット・パッカードの片岡 唯氏

 HPE SimpliVityの導入がDXのゴールではない。DX実現に向けた取り組みは、これからが本当のスタートだ。立川氏は今後を見据え「新しいITインフラのメリットを生かすことで、自社の競争力強化や新たな価値創出の源泉となる『攻めのIT』を意識したアプリケーション開発を進めます」と語る。

飯沼慶二氏 日本ヒューレット・パッカードの飯沼慶二氏

 日本ヒューレット・パッカードの片岡 唯氏(インダストリー営業統括本部第二営業本部第二営業部三菱電機営業グループ アカウントマネージャー)によると、HPE SimpliVityのラインアップは今後も増える見通しだという。「検証用の廉価版、バックアップ専用、VDI専用といったモデルを提供しており、今後もユーザー企業のニーズに幅広くお応えできるラインアップを拡充します」。同じく日本ヒューレット・パッカードの飯沼慶二氏(エンタープライズパートナー営業統括第一営業統括本部)は、大塚商会との協力関係について「検証環境を社内に構築してもらっています。何か問題があればすぐに対処してもらえる体制があり、心強いパートナーです」と語る。ハードウェアベンダーとディストリビューターの密な協力体制で、引き続き三菱電機トレーディングのDX実現を支援する考えを示した。

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