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ゴールを見据えた製品選定を 日立ソリューションズに聞く、RPA全社展開の秘訣

RPAは大企業を中心に導入が進んだものの、部門単位での利用にとどまり、全社展開にまで至らないケースが少なくない。RPAを全社展開するために必要なことは何か?

» 2021年08月23日 10時00分 公開
[PR/キーマンズネット]
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 RPAの普及が国内で本格化した2016年から早くも6年。RPAはこの6年間で大企業を中心に導入が進んだものの、部門単位での利用にとどまり、全社展開にまで至らないケースが少なくない。

 ITベンダーの日立ソリューションズ(東京都品川区)は、2017年に働き方改革の必要性が高まり、RPAを導入して全社展開させた経験を持つ。この経験をもとにして、これまでに100社を超える企業のRPA導入支援に携わってきた同社の担当者らに、RPAが全社規模の利用にまで至らない背景や、RPAを全社展開するために必要なことについて聞いた。

セキュリティ面や開発の生産性に課題があり、全社展開に進めないケースがある

54626 (左から)日立ソリューションズ RPAソリューション部 部長 佐藤恒司氏、同部グループマネージャー 白土浩司氏

――RPAを導入したものの、部門単位での利用にとどまり、全社展開にまで至らないケースがあるようです。こうした事例についてご紹介いただけますでしょうか。

佐藤恒司氏(日立ソリューションズ RPAソリューション部 部長): 当社がこれまでにサポートした事例では、複数のいわゆるデスクトップ型のRPA製品を導入して部門ごとに業務を自動化されていたお客さまが、同様の課題を抱えていらっしゃいました。

 そのお客さまの場合、各部門レベルではRPAによる業務効率化で一定の成果を上げていたのですが、部門ごとに開発されたロボットを全社レベルで一元管理する仕組みがなく、全社展開を前にしてセキュリティ面での不安を抱えていらっしゃいました。また、開発は外注がメインであり、社内の開発に関しては部門間での共有や部品の共通化といったことがなされておらず、ロボットの品質が標準化されていないことも課題でした。

――全社展開を前にして、課題が表面化したのですね。主な課題について具体的に教えていただけますか。

白土浩司氏(日立ソリューションズ RPAソリューション部 グループマネージャー): この事例の場合、全社展開の段階で主に2つの点が課題として表面化しました。

 1つ目は、セキュリティ面におけるリスクです。デスクトップ型のRPA製品によって開発されたロボットは、部門単位で個人の業務を自動化する分にはさほど問題がありませんが、コスト面などの理由から管理用ツールを導入せずに全社展開を考えた場合、セキュリティ面における課題が明らかになることがあります。

 例えばそれまで部門内のみで稼働させていたロボットを、全社共通のネットワーク内でスケジュール実行させるとします。するとそのロボットは、社内で「開発者も動作順序も不明なまま勝手に動作するロボット」として認識されてしまうのです。これは会社にとって大きなリスクだといえます。

 2つ目は、開発の生産性です。デスクトップ型のRPA製品の場合、ロボットの開発と稼働は、共に個々のPC上で行われます。PCの環境は端末ごとに異なるため、ある特定のPC上で稼働することを前提として開発されたロボットは、ほかのPC上では正常に動作しない可能性があります。

 そのため部品の共通化がなされていない場合、すでに開発済みのロボットと似たような動作をするロボットであっても、それぞれのPC環境に合わせて一から開発をし直さなければなりません。これは、生産性という観点から考えると効率が良いとはいえません。

Automation 360の機能性の高さや、ユーザーとしての豊富なノウハウが採用の決め手に

白土浩司氏 「Automation 360の機能性の高さのほか、ユーザーとしてのノウハウも評価していただいた」と語る白土氏

――さまざまな課題を抱えるクライアントに対して、貴社はどのような提案を行ったのですか。

佐藤氏: 今回の事例では、既に導入済みである複数のデスクトップ型のRPA製品を「Automation 360」にリプレイスする方法をご提案しました。Automation 360は、Automation Anywhereが提供する、完全Webベース、クラウド対応の最新型RPAプラットフォームです。

 Automation 360へのリプレイスでは、まずお客さまが過去に開発されたロボットの棚卸を行います。そして移行の対象となるロボットを選定し、そのロボットをAutomation 360に実装し直します。今回のプロジェクトはスタートから約1年が経過し、当初計画していたロボットの移行作業はほぼ完了しました。現在は業務自動化の幅をさらに広げたいとのご要望を受け、対象業務の洗い出しなどを追加で行っている状況です。

 Automation 360へのリプレイスをご提案した背景には、自社におけるRPA導入と全社展開の成功体験があります。当社は2017年に働き方改革の必要性が高まり、RPAを導入して全社展開を実現しました。その時の製品選定でAutomation Anywhereを採択した経緯から、自社でもAutomation Anywhereの製品を取り扱うようになったのです。

――ユーザーとしての豊富なノウハウがあることは、クライアントにとって心強いですね。他にはどのようなことが決め手となって、貴社によるAutomation 360へのリプレイスが採用されたのですか。

白土氏: 採用の決め手となったのは、Automation 360に全社展開に必要な管理機能などが最初から搭載されていることでした。例えばAutomation 360には「クレデンシャル管理」という機能があります。これは社内の基幹システムにログインするためのIDとPWを隠蔽化することにより、これらを開発者に開示しないままで開発が進められる機能です。また、開発画面やレコーディング機能、アクションなどにも特徴があり、ロボット開発の生産性を高めることができる機能が揃っています。

 こうしたAutomation 360の機能性の高さに加え、当社がこれらの機能を利用してどのようなサポートができるのかについてご説明した結果、採用を決めていただいたと聞いています。

 また、今回の事例では、複数のRPA製品を契約していたことからライセンス費用が割高になっていることも課題でした。そのため、Automation 360へのリプレイスをご提案した背景には、ライセンス契約を一本化してコストダウンする狙いがあり、その点も評価していただいたと感じています。

佐藤氏: Automation Anywhere製品には「価格が高い」というイメージがあるかもしれませんが、決してそんなことはありません。Automation Anywhere製品が日本に登場した2017年頃は、ライセンス構成が非常にリッチだったことから、価格は比較的高めでした。しかしその後、ライセンス構成の見直しが行われ、以前よりもスリム化されたライセンスが登場しています。そのため現在は、比較的手頃な価格でのライセンス提供が可能になっています。

RPAの全社展開に必要なのは、目指すゴールと期待する効果を明確にすること

佐藤恒司氏 「RPAの導入や全社展開ではなく、自社のゴール達成を目的とすべき」と強調する佐藤氏

――これまでの経験を踏まえた上で、RPAの全社展開を実現するために必要なことについて、お考えをお聞かせください。

白土氏: RPAの全社展開を実現するために必要なことは、主に2つあります。1つ目は、RPAによって目指すゴールを設定することであり、これが最も大切なことです。そして2つ目が、RPAにどのような効果を期待するのかを明確にすることです。

 RPAによって目指すゴールや期待する効果がはっきりしていないと、全社展開の段階で課題が表面化し、先に進めなくなってしまう可能性があります。RPAの全社展開を実現するためには、初期の段階でRPAによって目指すゴールと期待する効果をしっかりと設定し、これらを実現するためのシナリオを組み立てることが大切です。そうすることで自然と次に行うべきアクションが決まります。

――自社が目指すゴールや期待する効果を明確にするためには、パートナー選びが重要になりそうです。

白土氏: パートナー選びは非常に重要です。ITベンダーの中には製品の販売を主な目的としているところもありますが、当社は製品をご購入いただいた上で、お客さまにゴールを達成していただくことを目的としています。せっかくRPA製品を購入するのであれば、ゴール達成までを見据えた提案ができるITベンダーを選ぶ方が、最終的な支出も少なくて済むのではないでしょうか。

――RPAを全社展開できないと悩んでいる企業の担当者に向けて、メッセージをお願いします。

白土氏: 自社におけるRPAの導入と全社展開の実現を通じて培ったノウハウをもとに、これまでに100社を超える企業のRPA導入支援に携わってきました。さまざまな成功例や失敗例を通じて気付いたのが、RPAの導入や全社展開を成功させる秘訣は企業ごとに異なるということです。

 その企業が置かれている状況や目指すゴールによってするべきことは異なるため、個々の状況に合わせてゴールへの道筋を描き、ゴールに向かうためのアクションを実行していくことが大切です。われわれはこれまでの経験から、お客さまの状況に合わせた成功への道筋をご提案できると思っていますので、ぜひお気軽にご相談いただければと思います。

佐藤氏: RPAは目的ではなく、業務改善のための手段でしかありません。RPAの導入や全社展開自体を目的とするのではなく、まずどこにゴールを置くのかを明確にし、社内で共有する必要があります。その上でどういった製品を選ぶべきなのか、どういったRPAジャーニーを描いていくべきなのかを決めることが、業務改善を成し遂げる上で非常に大事だと考えています。

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